地温勾配
火山ではない湯
火山が無くても、地下は深いほど熱くなります。この深さあたりの温度の上がり方が、火山ではない土地の温泉を成り立たせる土台です。
どうして湯が湧くか
地球の内部から地表へ、熱が絶えず流れ出ているためです。産業技術総合研究所 地質調査総合センターは、その上がり方を100mにつき平均約3℃とし、地表20℃なら1000mで50℃、3000mでは100℃を超えると説明しています。神奈川県温泉地学研究所が地下増温率と呼ぶものも同じもので、マグマだまりの熱を借りずに湯ができる土台になります。火山から遠い土地の湯は、この上がり方の分だけ温められています。
地下で何が起きているか
熱の出どころは、地球の内部に残る熱と岩石に含まれる放射性元素の壊変熱です。この熱が上へ抜けていく途中の温度差が勾配として現れるので、同じ深さでも土地によって値は違います。熱を通しにくい堆積層が厚いところでは勾配が急になり、浅い掘削でも目当ての温度に届くことがあります。硬い岩が続く土地では熱が逃げやすく、同じ温度を得るのに深く掘ることになり、この差は割れ目系循環型温泉の分布にも効いてきます。
出てくる湯の成分の傾向
この項目が受け持つのは熱だけで、成分は水の側から決まります。地中にしみ込んだ雨や雪が温まれば深層地下水型温泉、地層に閉じ込められた古い海水が温まれば化石海水型温泉になり、同じ深さの同じ温度でも中身は別のものになります。温度が25℃に届けば温泉法上の温泉として扱われる、という区切りだけが両者に共通します。熱そのものは、成分の濃さを決めません。
地上での見え方
地上には、何も現れません。噴気も変色した地面もなく、自然湧出する湯も生まれにくいので、掘って初めて存在が分かります。必要な深さは勾配と目当ての温度で決まり、勾配のゆるい土地では1000mを超える掘削になります。平野のビルの下から湯が出るのは穴がその深さまで届いたからで、動力揚湯で汲み上げているものが大半です。見えない土台であることが、この項目の見え方になります。