アブローラー
腹・体幹
器具: 自重 / 難易度: 上級
アブローラーは、伸ばされながら耐える力を鍛える腹筋
効く筋肉
腹直筋が伸ばされながら耐える形で働き、腹横筋や腹斜筋、広背筋も体を支えます。Marchettiら(2015年)は、筋トレ経験のある男性8人が肩の角度を3段階に変えて車輪を出した姿勢を10秒保つ測定で、角度が大きいほど腹直筋の活動が高かったと報告しています。大胸筋も中立より150度で高まりました。転がす動きでなく静止した姿勢の測定です。
やり方
膝の下にマットを敷き、肩がほぼローラーの真上にくる膝立ちで構えます。骨盤を後ろへ傾けて背中を平らに保ち、腕を伸ばしたまま少しずつ前へ転がします。Minus The Gymは、手を肩の少し前へ出す浅い動きから始め、腕と肩で床を押して広背筋で引き戻すと説明しています。回数はMELOSが、まず5回から始めて10回を目指すよう案内しています。
フォームの注意点
腰が落ちて反る崩れに注意します。MELOSは、疲れてくると腰が反りやすいと注意しています。まめたまの筋トレ日記は、背中と胸を丸め、お尻が膝より後ろへ行かないよう勧め、間違うと腰を痛めやすい種目だと注意しています。戻し方の力点は、Minus The Gymが広背筋、Mind Pump TVが腹筋と分かれます。背中が平らに保てる範囲で折り返すのが目安です。
バリエーション・代替種目
膝つきの浅い転がしから始めます。MELOSは、きつい人はつま先を床につけ、足で踏ん張れる形にするよう勧めています。慣れたら顔が床に近づくまで手を前へ出します。Minus The Gymは、斜めへ出て戻るVロールアウトが腹斜筋と腹横筋を狙う型だと紹介しています。土台づくりにはプランク、腹を縮める刺激を補うならケーブルクランチと組むとバランスが取れます。
出典
- 論文・英語 Marchetti PH ほか(2015) Muscle Activation Pattern During Isometric Ab Wheel Rollout Exercise in Different Shoulder Angle-Positions
- 動画・英語 Minus The Gym Ab Wheel For Beginners | Rollout Progression and Extra Exercises
- 動画・英語 Mind Pump TV Ab Wheel- How to PROPERLY Use an Ab Wheel | MIND PUMP
- 動画 MELOS -メロス-┃スポーツ×ライフスタイルWEBマガジン 腹筋を割る!初心者でもできる腹筋ローラーの正しいやり方
- 動画 まめたまの筋トレ日記 【たった10回】超初心者でも必ず効く!腹筋へ猛烈に効きすぎる地獄の筋トレ
解説動画: 初心者向け・膝つき腹筋ローラーの正しいやり方/MELOS -メロス-┃スポーツ×ライフスタイルWEBマガジン
概要: 膝をついて行う基本形を解説する。膝が痛くならないようマットなどを敷き、その上に膝をついてセットする。手幅は拳一つ分ほど開け、ローラーを床に置いたらつま先を浮かせた状態を保つ。ここから前へコロコロと転がしていき、元の位置まで戻す動作を繰り返す。
腰を反らせない: 転がした位置で腰が反らないようにし、お腹に力が入るよう上体を支えるのが最大の要点になる。疲れてくるほど腰は反りやすくなるため、最後の1回まで意識を切らさない。戻すときもきちんと元の位置まで戻してから動作を終える。
肘は伸ばしたまま: 行きも戻りも肘が曲がらないことをポイントとして繰り返し挙げている。腕を伸ばしたまま転がし、伸ばしたまま戻す。肘が曲がると狙った負荷が抜けてしまうので、動作中はずっと腕を伸ばした状態を保つようにする。
きつい人はつま先を床につける: 膝つきの姿勢が保てない、しんどいという人は、浮かせていたつま先を床につけて同じように転がすとよい。足で踏ん張れる分、膝をついただけの状態よりさらに負荷が弱くなる。まずはこの形で動作を安定させ、慣れてからつま先を浮かせた姿勢に戻していく。
回数の目安: 最初は5回から挑戦し、慣れてきたら5回を数セット行うよう勧めている。さらにレベルアップしたい人は10回連続を目標にするとよい。動作中は呼吸を合わせ、同じフォームのまま繰り返すことを重視している。
解説動画(海外・英語): Never Do Ab Wheel Rollouts Like This!/ATHLEAN-X™
外すと腰を痛める。3つの局面に分けて直す: Jeff Cavaliereは、アブローラーは正しくできれば腹のトレーニングに入れる価値のある種目だが、できないなら入れるべきではないと言い切る。理由は2つで、よくても時間の大きな無駄になり、悪ければ腰(腰椎)を痛めかねないから。そこで彼が分けるのは、セットアップ(構え)、ロールアウト(出す動作)、そしてホイールを引き戻す動作の3つ。どんな種目もこの3要素でできているが、この種目は特にこの3か所で崩れる人が多いので全部押さえる、という組み立てになっている。
背中を一直線にしろ、という助言は取らない: 構えでまず見るのは背中と骨盤の位置。よく言われる「全部平らにして一直線にしろ」という助言は、彼は取らない。それをやるとこの種目がアンチエクステンション(脊柱が反るのを止める働き)だけの動きになってしまうからだ。それは確かに大きな要素だが唯一の要素ではないし、その姿勢のまま転がすと広背筋が仕事をほとんど持っていく。自宅に重りが無いなら広背筋作りとしては優秀(ストレートアームプルダウンと同じ動きになる)が、狙いはあくまで体幹の強化。体幹の機能には脊柱を屈曲させることも含まれるものの、腰椎を曲げすぎる必要はない。代わりに彼が入れるのはキャット&キャメル的な動きで、上部の腹筋を胸のほうへ引き上げて丸め込む感覚。腰を過度に丸めるのではなく、骨盤の前傾をニュートラルに戻すだけで、その形を最後まで保つ。
自分が扱える範囲までしか出さない: ロールアウトで意識するのは、自分がコントロールできる範囲までしか出さないこと。目的は締めた体幹を保ったまま、脊柱が速く一気に伸展するのを防ぐことで、この急な過伸展こそ腰椎を痛める瞬間だと説明している。初心者は動画で示されるごく短い距離で構わず、上級者は最後まで出し切ってよい。むしろ出し切った位置で短い時間そのまま止めてから戻すこともできる。距離そのものは基準ではなく、腹が力尽きて腰が落ちる瞬間が一度でもあってはいけないという一点だけが条件になる。
戻すときに股関節から引かない: 彼が最も重視するのが戻し方で、見るべきは「引き戻す動きを何が始めているか」。お尻を先に引いて股関節の屈曲でホイールを戻すと、そこまでに作った良い部分が台無しになる。実際これをやっている人が非常に多い。「アブローラーを何百回もやっている」と言う人がいるが、正しくやっていればその回数はこなせないという。股関節から引くと種目の半分近くが消えるも同然で、カールで重りを下ろすだけで挙げないのと同じだと例える。多くの腹の種目で腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)をはじめとする股関節屈筋が働きすぎるのはよくある話で、これもその一例。正解はホイールとお尻(股関節)が同時に動くことで、腹の収縮から戻り始める。
ベンチを使った自己チェックと、回数より質: 正しくできているかを自分で確かめる方法も示される。トレーニングベンチを背にして、お尻をベンチに触れた状態から座り込むように構え、そこからロールアウトする。戻る途中でお尻がベンチに少しでも触れたら、そのレップは失敗——股関節が主導して先に引けた証拠になる。ベンチから離れてやるときも考え方は同じで、出し切ったところから腹の収縮で戻り始め、ホイールとお尻が同期して動き、トップに戻ったときにお尻が開始位置より後ろへ下がっていないのが正しく行えた1回。締めくくりは、腹のトレーニングは回数を稼ぐものではないという話。数えるのをやめて1回1回の質に集中すれば、効果的に、そしてより安全に鍛えられるとしている。