ビブラート

表現の技

伸ばした音を規則的に揺らす表現の技

どういう技術?

伸ばした音を規則的に揺らす技です。声帯を鳴らしたまま、息の圧力か喉まわりの筋肉が周期的にゆるんで、高さと音量が波打ちます。聞いていて心地よい揺れは1秒に5〜7回あたりで、幅と速さがそろっているのが条件です。意識して作る人もいれば、力が抜けて自然に出る人もいて、どちらが正しいということはありません。

やり方

先に息を細く長く保つところから入ります。まっすぐ4拍伸ばし、5拍目から「あ〜あ〜あ〜」と、おなかを1拍に2回軽く押して波を作ります。喉を揺らそうとすると、ただ声が震えるだけになるので、動かすのはおなかと息です。曲では語尾の1〜2拍にだけ掛けると形になります。

練習のしかた

部屋で3分あれば足ります。好きな高さで「あー」と8拍伸ばす練習を5回、前半はまっすぐ、後半だけ揺らします。録音を聞き返して波の数が数えられるなら合格、ぐらぐらして数えられないうちは幅が広すぎです。使えるようになるまで数週間から数か月は見ておきます。

やりがちなミス

かけすぎがいちばん多い失敗です。全部の語尾に掛けると重たくなり、軽い曲では浮きます。揺れが1秒に3回より遅いと不安定に、9回より速いと震え声に聞こえます。採点でもビブラートのタイプ判定で速さと深さを見られるので、深くするより一定に保つほうが先です。

解説動画: 【ビブラート】ボイストレーナーが教える練習法/しらスタ【歌唱力向上委員会】

揺れ方は大きく3種類: 聞こえ方で分けると揺れ幅の大きいもの、標準的なもの、粒の細かいものの3つ。細かい揺れは言葉と言葉の間にも入れやすく、不安定さや切なさの表現に向きます。どれが正しいということはなく、それぞれの揺れで活躍しているプロがいる、という前提から始まります。

標準の揺れから始める: これから覚える人が最初に取るのは標準的な揺れです。いきなり大きい揺れや細かい揺れを狙うと変な癖がついて後で直しづらくなります。練習は楽な音域・楽な音量で「あああ」と揺らすだけ。少しずつ速さを上げていき、ある程度のテンポで続けられたら次の段階へ進みます。

顎・舌・音色は動かさない: この練習にはやると効果が半減する動きが3つあります。顎を上下させて揺らすのは意味がないので、動いてしまう人は歯を食いしばったまま練習します。舌が動くのも同じで、鏡で確かめます。揺らすたび音色が変わる人は、裏声から始めると余計な癖を最小限にできます。

語尾に6回かけ続ける: 次の段階は曲の中で、語尾のたびに6回かけ続ける練習です。曲は何でも構いません。きれいに入らないうちは語尾をもっと長く伸ばして、ゆっくり6回。それを繰り返して、ひとつ前の練習で届いた速さまで曲の中で出せるようにしていきます。

できるまでにかかる時間: 前提が2つ。ひとつは、ラフに声を出せる音域でしか身につかないこと。高くて苦しい音域や叫ぶしかない音域では掛かりません。もうひとつは時間で、3日でできるという話は無理だと言います。毎日やって最低2週間、歌に使えるまで1〜2か月かかっても普通。1か月で諦めないことです。