ヒーカップ

表現の技

難しさ: 練習すればできる / 効くところ: 表現

ヒーカップは、声を一瞬だけ地声から裏声へ裏返す表現。

どういう技術?

声を一瞬だけ地声から裏声へ裏返す技です。名前は「しゃっくり」を意味する英語のhiccupから来ています。地声と裏声の切り替えは、筋肉の使い分けだけでなく、声門の形がなめらかに変わっても内部の圧力が急に変わって起きうる、と音声科学者のIngo Titzeが2014年の論文で計算と実測から示しました。ヒーカップは、この跳びを一瞬だけ使う技です。

やり方

さきここVoice(動画チャンネル)は、裏返しを3型に分けています。語尾の字に裏声が混ざる型、裏声で伸ばして切り、すぐ地声へ戻る型、地声から裏声へポンと跳ぶ型です。入りやすいのは最後の型で、語尾に混ぜる型がいちばん難しいと話しています。「ハ」のh音を混ぜると息が漏れ、裏声の感覚に寄せやすいという助言もあります。

練習のしかた

3分。まず地声の「あ」から裏声へ跳ぶ動きを10回。跳べたら他の型までもう少し、とさきここVoiceは話しています。次に同じ「あ」を10回出し、3回だけ語尾で裏返して録音します。聞き返して入れた場所を当てられるなら成功、全部同じに聞こえるなら弱すぎです。曲では、まず静かな曲のAメロで試してください。

やりがちなミス

多用すると歌全体が幼く聞こえ、バラードのような大人びた曲では浮きます。息を混ぜる分、息の音がマイクに強く乗ると雑音になるため、マイクとの距離は少し離します。採点での扱いは機種や世代で違うので、点のためではなく、表現として使うものと割り切ってください。録音して1曲あたりの回数を数え、絞っていきます。

出典

  1. 論文・英語 Titze IR/The Journal of the Acoustical Society of America(2014) Bi-stable vocal fold adduction: a mechanism of modal-falsetto register shifts and mixed registration
  2. 動画 さきここVoice 【ボーカルスキル】ひっくり返すのどうやるの?超わかりやすく解説します!

解説動画: 【歌唱テクニック】声を裏返したような効果!ヒーカップ 解説とやり方教えます【ボイトレ】【ボイストレーニング】【カラオケ】/東本ボイストレーニング

二つの型から一つ選ぶ: 声を一瞬ひっくり返す技で、入れる位置によって型が二つに分かれます。語尾で使う型と、フレーズの合間に差し込む型。講師は歌唱法の中では中級ぐらいの難しさとし、まずやりやすいほうを一つできるようにして、それが固まってからもう一方へ進む順番を勧めています。

語尾の型はブレスアウトから: 語尾の型には、伸ばした音の最後に余った息を瞬発的に吐く「ブレスアウト」が要ります。だらだら垂れ流すとかっこ悪いので、単発で短く、スパッと切る。伸ばしている声から切り離さずつなげて吐くのも条件です。この吐くところに裏声を混ぜると、ひっくり返る音になります。

裏返しは短く、そこで脱力: 裏声への切り替えは、声帯を一気に開いてひっくり返す練習で作ります。裏返った先はできるだけ短くカットし、そこは一気に脱力させる。ため息で力が抜けているあの状態に声をのせる感覚なので、喉は非常に楽なままできます。ブレスアウトと裏返しは別々に練習して、後から合体させます。

合間に入れる型は難しい: フレーズの途中に差し込む型は、ブレスアウトの勢いを借りられず裏返しだけで勝負することになります。切り替えが遅いとただ声が裏返った失敗に聞こえるのが厄介なところ。裏返した先の音程は気にしなくてよく、練習はゆっくり丁寧にやって徐々に速くするしかない、と説明しています。

語尾で使うと喉が緩む: 語尾のこの処理には喉を一度リセットする効果もあります。ひっくり返したところで喉が緩むので、次のフレーズが歌いやすくなる。ただし入れられる場所は探せばいくらでもあるぶん、やりすぎないほうがいいというのが講師の考えで、自分の歌を聞いて判断するよう促しています。