頭の中でやってみる

体で覚える

体を動かせない場面で、手順を頭の中で通す

どんな技?

手を動かせない場所で、手順を頭の中で一通り通します。目を閉じ、自分がその動作をしている場面を一人称の視点で追い、順番と体の感覚まで含めて再生します。途中で詰まったところが、そのまま手順の穴です。移動中や待ち時間に向く形で、実際に動かせる場所にいるなら動作をつけて覚えるを先に取ります。足しとして使う技です。

なぜ効くのか

頭の中で通すあいだも、順番の組み立てと次の一手の選び方は実際に近い形で働くと考えられています。だから考える要素の多い課題で相対的に効きやすく、体の力加減が占める割合の大きい課題では差が縮みます。時間が経つほど利益は薄れていく形なので、本番の近くで通すほうが理にかないます。ただし体を動かす練習の代わりにはなりません。

やり方

手順を5〜8の段に区切り、段ごとに10秒ほどで頭の中を通します。1回5分前後で切り、同じ手順を続けて繰り返すよりは日を分けます。置く場所は前日と直前で、離れた時期にため込みません。詰まった段は目を開けて資料で確かめ、そこだけもう一度通します。動ける状況になったら実際にやる側へ戻し、頭の中は補助に下げます。

はまりどころ

頭の中では詰まらないのに手が動かないことがあり、できたつもりだけが育ちます。ここはわかった気と同じ形です。効き目は課題の種類と本番までの間隔で変わり、間が空くほど小さくなります。材料は動作を含む課題が中心なので、用語の暗記に同じだけ効くとは書けず、そこは思い出す練習の担当です。実技の量を削る口実に使うと、本番で手が止まりやすくなります。

確かめられ方

Driskell・Copper・Moran 1994 のメタ分析では、頭の中で通した群の成績が正の向きで有意と報告されています。ただし効果は課題の種類・本番までの間隔で変わり、練習の長さによっても一律ではありません。Toth ら 2020 が24年後の追試と拡張として同じ問いを検証しており、材料は動作を含む課題に寄っていて、用語の暗記については調べられていません。

解説動画(海外・英語): How to Learn Skills With Visualization & Mental Training | Dr. Andrew Huberman/Huberman Lab Clips

五つの分野の総説: 動画は、教育・医療・音楽・心理・スポーツの五つの分野にまたがる頭の中の練習を集めた総説を紹介します。中心は運動のイメージ訓練ですが、動きを伴う音楽や教育にも広がる内容です。そこから最初に挙げられる原則は、思い描く中身を短く、単純にして、何度も繰り返すことだと述べます。

十五秒で区切る: 一度に思い描く長さの目安は5〜15秒で、そこへ入るだけ通したものを1回と数えます。5秒で終わるゴルフのスイングなら15秒に3回で1回ぶんです。区切ったら同じくらいの時間だけ休み、また通します。1回の練習で重ねる数として効きがよいのは50〜75回あたりだと動画は言い、秒数の厳密さにはこだわらなくてよいと添えます。

週に何度置くか: 頻度を調べた研究は週2〜8回まで幅がありますが、動画は週3〜5回あたりに確かな結果が集まると整理します。自分が続けられる回数で決めてよく、ずっと続ける必要もありません。動きや手順が記憶の固定化まで進めば、頭の中の練習をやめても保てるので、次に覚えたい一連へ移ればよいと述べます。

一度できた動き: 効き方には条件があります。一度もやったことのない動きには、頭の中の練習は良い足しになりにくいと動画は言います。向くのは実際にときどきは成功するところまで来た動きで、その成功する頻度と正確さを上げる働きです。実際にできることが増えるほど頭の中でもうまく通せるとも述べ、現実の練習に重ねる足しとして置きます。

言葉や楽器でも: 対象は体の動きだけではありません。新しい言語の一文をゆっくりなら言える状態から滑らかにする例を挙げ、ピアノやギターも伸ばしたい動きに置き換えて同じように通せばよいと言います。ただし想像するだけで新しいことが身につくわけではないと念を押し、一度できたことの速さと正確さを上げる側で使うのが向いていると結びます。