迷わず出るまで繰り返す

体で覚える

正しくできる段階の先で、速さと安定を作る

どんな技?

正しくできるようになった段のあとに、迷いなく出るまでの段を置きます。見るのは正答率ではなく出てくるまでの速さとばらつきで、用語なら一枚2秒ほど、手順なら手が止まらずに通るかを目安にします。合っていたかどうかではなく詰まった回数を数えるところが、ふだんの復習との分かれ目です。正しさは前提にして、その先だけを見ます。

なぜ効くのか

同じ課題をくり返すと、正しさが変わらなくなったあとも反応が速くなり、ばらつきが小さくなります。この変化は多くの種類の課題で一貫して報告されています。速く安定して出るぶんだけ手前の処理に注意を取られなくなり、自動化が進んだ状態に近づきます。伸び方は初めが大きく後になるほど鈍くなるので、後半は同じ手応えでは進みません。

やり方

覚える単位を一問一答まで小さくし、1分で何枚通せたかを記録します。詰まった札だけを抜くのではなく、言えた札も残す形で束に置いたままにします。手順を覚えるときは、通しにかかった時間と手が止まった回数を同じように書き留めます。同じ日に重ねるより間をあける練習で日をまたいで戻り、一回の枠は10分前後にします。数字が伸びなくなったら、その単位は仕上がりと見て次へ移ります。

はまりどころ

速く出ることは、意味が分かっている証拠にはなりません。言い方を変えられた途端に止まるなら、形を変えて思い出す側の手当てが要ります。練習量と伸びの関係は形まで決まっておらず、当てはめる式によって結論が変わります。何時間で仕上がるという総量の話は1万時間の法則が扱う範囲で、この技とは別です。速さの記録は体調と時間帯でも動くため、一日ぶんの数字だけで判断しません。

確かめられ方

練習を積むほど反応が速くなる関係は多くの種類の課題で観察され、Newell と Rosenbloom が1981年にべき乗則としてまとめました。扱われているのは同じ課題をくり返したときの反応時間で、意味の理解や応用は曲線の外です。Heathcote らが2000年に多数のデータを再分析し、指数関数のほうが当てはまると主張しており、形は決着していません。

解説動画(海外・英語): Three stages of learning movement/Sport Science Collective

三つの段で進む: 動画は、動きを覚える過程で起きる考え方と振る舞いの変わり方を説明するための古くからある枠組みを取り上げます。学ぶ人は認知・連合・自動という三つの段を順にたどるとされ、進むほど動きが自動化へ向かうという情報処理の考え方とも地続きだと述べます。段ごとに何がどう変わるのかを、この順で追っていきます。

初めは一手ずつ: 最初の段の人は作業記憶に頼り、動きをいくつかの手順に割って意識しながら実行すると説明されます。言葉にできる知識をそのつど動きへ当てはめる形で、まだつながっていない制御を一つずつ順に追いかけることになる。この段の出来にはばらつきと誤りが大きく出ると述べます。

つながって滑らか: 次の段に入ると、処理が作業記憶から切り離された手続きの側で回りはじめ、動きがつながって、途切れずに流れるようになると述べます。ここへ届くまでの道のりは技によって違い、必要になる意図的練習——骨が折れて、出来を上げることへ向かう練習——の量も一つひとつ変わると説明されます。

注意が別へ回る: 最後の段は、多くの練習を経て技がやり込まれた状態になり、わずかな意識で出せるところだと述べます。動きの手順に注意を取られなくなると、余った注意が読みと判断のほうへ回ることもあり、先読みが利くようになる。出来のばらつきと誤りは小さくなり、自分の誤りにも気づけるようになると述べます。

段に応じて組む: 動画は、動きに求められる処理と負荷が技量・課題の複雑さ・かかる圧力によって変わると結び、そのうえで練習の組み方も段に合わせて変えるよう促します。進むたびに手ごたえのある課題を置き直すという話です。正しくできた先にもう一段あるという見取り図が、この技の土台にあたります。