梅干し

漬物・糠床

梅干しは、完熟梅に塩をして梅酢を上げ、天日で干した、塩とクエン酸と乾燥で保存する食品です。

どんな発酵?

完熟梅に塩をして梅酢を上げ、土用のころに天日で干したものです。乳酸発酵が主役ではなく、塩とクエン酸と乾燥で保存する食品。だから塩分濃度が保存性を直接決めます。農林水産省も、塩分20%を守ることが失敗しないコツで、減らすと保存に失敗しやすいと伝えています。天日に干す工程は、梅雨が明けた「土用」のころに行うので「土用干し」と呼ばれます。

材料

完熟梅、塩、(赤じそ)。塩は梅の重量に対して18〜20%が伝統的な濃度。8〜10%の減塩梅干しは、冷蔵保存が前提で、常温では傷みます。和歌山県のレシピは梅1kgに粗塩200g・重石1kgという配分です(農林水産省「うちの郷土料理」)。赤じそを加えると、塩だけの場合よりポリフェノール量が約13倍になったとSuwannachotとOgawaの研究(2024)は報告しています。

仕込み方

梅を洗ってへたを取り、塩と交互に容器へ。重石は梅と同じ重さから。3〜4日で梅酢が梅の上まで上がらなければ、カビの危険が高い—— 重石を足してください。梅雨明けに3日3晩干し、梅酢に戻すか、そのまま保存します。容器に使う袋は、内側を35度以上の焼酎か酢で消毒しておくと安心です(農林水産省「うちの郷土料理」)。干すときは晴天が3〜4日続く日を選び、梅全体にまんべんなく日が当たるようにします。

見極めと失敗

白い膜が張ったら、産膜酵母なら梅酢を煮沸して戻せます。毛羽立った色付きのカビなら、その梅を除いて梅酢を煮沸・濾過。減塩で仕込んだものは必ず冷蔵。表面の白い粉は塩の結晶のことが多く、これは問題ありません。塩分が気になるときは、食べる前に塩抜きしてから使う方法もあります(農林水産省「昔ながらの保存食」)。

出典

  1. 公的機関 農林水産省 梅干し 和歌山県|うちの郷土料理
  2. 公的機関 農林水産省 昔ながらの保存食!梅干し
  3. 論文・英語 Suwannachot J, Ogawa Y(2024) Changes in polyphenolic compounds and antioxidant activity of Japanese pickled apricot with salted red perilla leaf during pickling and digestion process

解説動画: 【カビない】お酢、アルコール要りません!シンプルな8%梅干しを作ります。/梅ボーイズ

8%は冷蔵が前提: このチャンネルはふだん15%以上で常温のレシピを勧めていますが、この回は塩分8%で冷蔵庫に入れる作り方です。梅300gに塩24g。塩が少ないぶん漬かるのが遅いので、そこを埋める手当てが要る、という組み立てです(→減塩の限界)。塩分ごとに漬けて、自分の好きな濃度を探すといい、とも勧めています。

酢ではなく梅酢で: 梅は落ちたてをさっと洗っただけで、虫が気になるなら三十分ほど水に浸ければ出ていくそうです。漬けるときは梅を梅酢にくぐらせてから。アルコールや酢を使う人もいるけれど、小さい子も食べるのでアルコールは避けたいし、酢だと梅の味が変わる——だから梅酢がよい、という理由です。へたのくぼみは拭き取ります。

袋を二重にして抜く: 容器より保存袋のほうが梅酢が回りやすいと言います。天地返しもしやすいそうです。袋がふくらんで口が開き、漏れることがあるので二重にします——元気な梅は空気を出すからです。容器で漬けたときは梅酢の出が少なく、梅が梅酢から出てしまったそうです。空気をしっかり抜いておくと酵母も出にくいとも話しています(→保存袋(ジッパー袋))。

梅酢を上げる重石: 塩を入れたら一列に並べて転がす——細かい傷がついて漬かりが早くなるためです。さらに梅と同じ重さの重石を、均等にかけて梅酢を上げます(→重石)。重石はあるものでよく、平らなものを一枚挟んでから載せていました。冷蔵庫で3週間から1ヶ月しっかり漬けてから干す、という段取りになっています。

絶対とは言っていない: 1ヶ月後、梅酢が出て梅がちゃぷちゃぷになっていました。ただし梅の状態にもよるので、言い切れるものではないと、はっきり断っています。大きな傷があったり、見た目に傷んでいるところがある梅は、傷んだところをくり抜いてから漬けるようにとも注意していました。