たくあん
漬物・糠床
たくあんは、大根を天日で干して水分を抜いてから、米糠と塩で漬けた漬物です。
どんな発酵?
大根を天日で干して水分を抜いてから、米糠と塩で漬けたものです。名前は、江戸初期に山形へ流された沢庵禅師が届いた大根を漬けて保存したのが始まりと、農林水産省が紹介しています。甘みが増すのは水分が抜けて凝縮するだけでなく、干されたストレスで大根自身がアミノ酸を作るためだと、高崎健康福祉大学のチームが大根の乾燥中の酵素の働きを調べて報告しています。糠床に漬けるぬか漬けとは違い、専用に仕込み数ヶ月置きます。
材料
大根、米糠、塩、砂糖、昆布、唐辛子、干した柿の皮やみかんの皮など。塩は干し大根の重量に対して4〜6%程度、糠は大根の重量の10〜15%が目安です。天日干しにした大根は、重石で押して水分を抜く方法より、甘みや旨みのもとになる成分が全体に多くなると、高崎健康福祉大学のチームが比べています。米糠を加えて長く漬けるほど、旨みのグルタミン酸や酢酸、ナイアシンも増えると報告されています。
仕込み方
大根を1〜2週間天日に干し、「く」の字に曲がるくらいまでしんなりさせます。糠と塩などを混ぜた漬け床と大根を交互に樽へ詰め、重石は大根の重量の2倍。水が上がったら重石を半分に減らし、1〜3ヶ月置きます。山形県上山市に伝わる製法では塩分15〜17%ほどで6〜12ヶ月漬け込みます。今の家庭向けの目安より塩辛く、漬け込みも長めです。
見極めと失敗
干し方が甘いと水分が多く、カビやすくなります。水が上がらなければ重石を増やす。表面の産膜酵母は取り除けば問題ありません。黄色い着色料を使わないので、市販品より色は地味です—— 色の薄さは失敗ではありません。常温で長く塩漬け熟成させると、大根の辛み成分とアミノ酸由来のアンモニアが反応し、黄色くなることがあると、高崎健康福祉大学のチームが学会で報告しています。冷蔵で漬けると色は薄いままになりやすいそうです。
出典
- 公的機関 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」 たくあん漬(たくあんづけ)
- 論文・英語 Kobayashi W, Kobayashi T, Takahashi A, Kumakura K, Matsuoka H(2021) Metabolism of glutamic acid to alanine, proline, and γ-aminobutyric acid during takuan-zuke processing of radish root
- 論文・英語 Kumakura K, Kato R, Kobayashi T, Sekiguchi A, Kimura N, Takahashi H, Takahashi A, Matsuoka H(2017) Nutritional content and health benefits of sun-dried and salt-aged radish (takuan-zuke)
- 論文 杉山元彌ほか(日本食品科学工学会第71回大会講演要旨、高崎健康福祉大学など)(2024) たくあん漬けの新規黄色色素の生成経路の導出
解説動画: 【プレミア公開】無農薬大根漬け物仕込み編/ひろちゃん農園
干し上がりを見る: 畑から抜いて洗い、干して9日目という大根を見るところから始まります。曲がり具合で干し上がりを見て、芯が残っていると曲がらず硬いまま。それは大根の育て方と、干す時期の問題だと話します。氷が張るくらい寒くなってから干すのがよく、暖かい時期に干すと柔らかくなりにくいそうです。
切ってから漬ける: 葉は漬けないのに、干すときは付けたままにします。葉が養分を吸ってくれて、早くしなびるからです。漬けるときは丸のままより、切ったほうが漬かりやすいので、大きいものは四つ割り、小さいものは二つ割りにし、しっぽは落とします。切りながら断面を見て、筋の入り具合も確かめていきます。
配合は毎年書き足す: 米ぬかに塩・砂糖・焼酎・ゆず・唐辛子などを合わせます。分量は大根の重さに対する比率で決めていて、毎年メモに書き、食べた感想で少しずつ調整してきたそうです。砂糖はだんだん減らしてきたとのこと。最初に教わったころの配合は、もっとおおざっぱだったと振り返っています。
樽に隙間なく詰める: 外回りから隙間ができないように並べ、段ごとに向きを変えて詰めていきます。合間に漬け床をかぶせます。色を付ける粉は、二人とも使いません——色が付いていて当たり前だと頭が覚えているので、色がないとおいしくないと頭が錯覚するのだと話します。
重石と、水の行方: 落とし蓋をして重石を載せ、これくらいは最低、と言いながらブロックを横にして重ねます。水が上がったらその水を取り除き、さらに重石を足す。気の早い人は四日目くらいから食べるそうです。レシピどおりにやっても思いどおりにはいかないので、何度か作りながら覚えるものだと結びます。