ツツガムシ

危険生物(虫)

ツツガムシは、見えない幼虫が発熱の病を運ぶダニ。

見分け方

人を刺すのは体長0.3〜0.7mmほどの幼虫で、肉眼では見つけにくい大きさです。河川敷や山あいの草地に潜みます。関東から九州では秋から初冬が中心で、東北・北陸では春から初夏にも出ます。夏はまれですが、2024年8月に新潟県の花火大会の会場が感染源と示唆された例が、論文で報告されています。幼虫は皮膚に1〜2日ほど吸着して組織液を吸います。

危険・注意

ツツガムシ病を起こし、刺されて5〜14日後に高熱・発疹・強いだるさが出ます。国内の2007〜2021年の届出6576例では、発熱が94%、発疹が87%、黒いかさぶた状の刺し口が84%で、肺炎が2%、脳炎が0.6%、死亡が0.5%でした。新潟市民病院の医師は、刺されたことに気づかず発熱で受診する人が多いと話しています。

出会ったら

草地に直接座らず、長袖長ズボンで肌を隠し、露出部には虫よけ(DEETなど)を使います。帰ったらすぐ入浴して着替え、野山や河川敷に入って2週間以内の発熱は、そのことを医師に伝えて受診してください。テトラサイクリン系の抗菌薬が第一選択で、ペニシリンなどのβラクタム系は無効です。予防のワクチンはありません。

出典

  1. 公的機関 国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)感染症情報提供サイト(2022) IASR 43(8), 2022【特集】つつが虫病
  2. 公的機関 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト(IDWR 2002年掲載、2012年更新)(2012) つつが虫病(詳細版)
  3. 公的機関 東京都保健医療局 ツツガムシ
  4. 資料 小坂篤志(東京都立墨東病院、日本感染症学会 感染症クイック・リファレンス)(2025) ツツガムシ病(Scrub typhus)症状からアプローチするインバウンド感染症への対応
  5. 論文・英語 Ogawa M ほか(Emerging Infectious Diseases)(2026) Reemergence of Scrub Typhus Associated with Leptotrombidium akamushi Mites and Karp-Like Orientia tsutsugamushi Genotype Bacteria, Japan, 2024-2025
  6. 動画 新潟ニュース NST -NIIGATA NEWS NST- 【医師に聞く】命の危険も!? アウトドアでは“虫刺され”に要注意!予防法と刺された場合の対処法

解説動画: ツツガムシ病とは:ダニの幼虫が媒介する感染症の実態と注意点/医療ニュース解説 ステラチャンネル STELLA CHANNEL - 星良孝

概要: ツツガムシ病は昔から日本で発生し続けている感染症で、今も年間300例ほどの報告がある。秋から冬にかけて感染する人が出るのが特徴で、動画の年も毎週30人前後の報告が続いていた。12月には死亡例が報じられており、引き続き非常に注意すべき感染症として取り上げている。

病原体と感染の仕組み: 原因はツツガムシと呼ばれる赤いダニ。親から卵へと病原体を受け継いでいく生態を持ち、幼虫が主にネズミの血を吸う過程でリケッチアという病原体をやりとりする。この幼虫がときに人を刺し、感染すると熱病を起こす。リケッチアは細胞の中でしか生きられない点が普通の細菌と違い、そのぶん治療もやや難しい。1899年に日本の医師が、東北の風土病だったこの病気がダニによって起こることを突き止め、世界に発表した。

全身に及ぶ症状: 刺されるとまず発熱や発疹が出るが、影響は人によって全身に及ぶ。肺炎、心臓の炎症、腎臓の障害、脳や神経の症状まで起こりうる。とくに脳や神経がやられるのが特徴で、タイなどでは無菌性髄膜炎の原因として認知されている。脳が侵されると意思と関係なく手足が動くなど体の動きの異常が出る。ほかに倦怠感、吐き気や嘔吐、下痢、咳、息苦しさなども現れる。

診断の難しさと治療: 厄介なのは、症状が他の発熱する病気と似ていて診断が難しいこと。検査にはワイル・フェリックス反応という、プロテウスという細菌との反応を利用する方法が使われ、世界的に最も重要な検査とされる。ただし感染初期には、実際は感染していても陰性と出る場合がある。診断がついたらテトラサイクリンやクロラムフェニコールなどリケッチアに効く抗菌薬を使う必要がある。これらは子供や妊婦には使えないため、マクロライド系など別の薬が用いられると説明している。

世界の状況と予防: 日本語の名前がついているので日本の病気という印象を受けやすいが、実際に大きな問題になっているのはインド、パキスタン、マレーシア、韓国、中国といった南アジアから東アジアの地域。感染の危険にさらされる人は10億人、実際の感染者は年間100万人規模とされる。予防はシンプルで、野外では長袖長ズボンでダニに刺されないようにすること。野外活動のあとに発熱や発疹が出たら、ツツガムシ病を疑ってかかる視点も必要だとまとめている。