アシナガバチ
危険生物(虫)
細い体で脚を垂らして飛ぶ蜂
見分け方
体長15〜26mmで腰が細く、後ろ脚をだらりと下げてゆっくり飛びます。巣はシャワーヘッドのような形で巣穴がむき出しになっており、軒下やベンチの裏、たたんだままのタープの内側にも作られます。
危険・注意
性質はスズメバチより穏やかですが、巣に触れたり、洗濯物や寝袋に紛れた個体を潰したりすると刺します。毒はアナフィラキシーを起こしうるので、以前に刺された人ほど油断できません。
出会ったら
巣を見つけたら数メートル以内に入らず、椅子やテントの位置をずらすのが確実です。刺されたら洗って冷やし、抗ヒスタミン薬の軟膏を塗ります。全身にじんましんが広がったらすぐ救急へ向かってください。
解説動画: アシナガバチの生態と、身近な場所での付き合い方/生物クラブ
どんな蜂か・スズメバチとの見分け: アシナガバチはスズメバチ科アシナガバチ亜科に属する蜂の総称で、体長は2.1〜2.6cm程度、細身でくびれた胴体と長い脚、黄と黒の縞模様が特徴である。市街地や公園、草むらなど身近な場所に住むため、ミツバチやスズメバチより見かける機会が多い。スズメバチとの見分けは体の細さと飛び方で、直線的に速く飛ぶのがスズメバチ、フラフラとゆっくり飛ぶのがアシナガバチと説明している。
巣の作り・大きさ: アシナガバチの巣にはスズメバチのような外皮がなく、部屋がむき出しになっている。材料は樹皮に唾液由来のタンパク質などを混ぜたもので、スズメバチの巣が洋紙ならアシナガバチの巣は和紙と例えられるほど丈夫である。作る場所は雨風をしのげる乾いた開放的な場所で、屋根の軒下やエアコンの室外機、ベランダ、庭木など。日本の巣は直径10cm程度、1つの巣に100匹ほどで、500〜1000匹になるスズメバチより小規模である。
性格と危険度: 基本的におとなしく、こちらが巣にちょっかいを出さなければ襲ってくることはない。ただし巣に近づくと怒って刺しにくるほか、巣が大きくなる夏は一年で最も攻撃性が高くなる。毒はスズメバチより弱く死に至ることはほとんどないが、数千人に1人ほどの割合でアナフィラキシーショックを起こす例がある。日本にいる11種のうち、市街地に多く被害件数も最多のセグロアシナガバチと、毒針を見せつけて威嚇し刺されたときの痛みが最も強いキアシナガバチが危険とされる。
洗濯物にたかったときの対処: 洗濯物に何匹も群がっているのを見つけたら、夕方のおとなしい時間にハンガーごと洗濯物を地面に落とすという対処を紹介している。アシナガバチは地面に落ちた洗濯物には興味を持たないためで、作業するときは白い長袖を着るなど襲われにくい格好をしておく。特定の衣類にだけ集まるのは、厚手の靴下に残った匂いや芳香剤の香りに引き寄せられるためで、集団で同じ場所に静止する習性から数匹がまとまって止まる。
益虫としての顔と、駆除するかどうか: 成虫は青虫やヨトウガの幼虫、アブラムシ、バッタ類などを狩り、顎で切り裂いて肉団子にして幼虫に与える。成虫自身は固形物を消化できず、代わりに幼虫が出す液体状の栄養をもらって生きている。農業害虫を捕食してくれる益虫としての面が大きい一方、人の生活圏にできた巣は駆除するのが無難だとしている。ただし10月以降に見つけた巣は新女王が生まれて役目を終えた後なので、そのままにしてよい。巣が再利用されることもない。