ムカデ

危険生物(虫)

ムカデは、寝袋や靴に入り込む夜行性の虫。

見分け方

草むらや落ち葉、庭石やブロックの下など湿った暗がりに潜み、夜に動きます。体の穴でも呼吸するため乾きに弱く、狩りは夜に集中します(ナショナルジオグラフィック)。咬まれた相談は8〜9月に多く、餌を探して屋内へ入り込みます(日本中毒情報センター)。夜に寝具へ潜んだムカデへうっかり触れて咬まれる例が目立ちます(堺市)。靴や寝袋の中は、湿った暗がりという潜み場所の条件がそろいます。

危険・注意

顎で咬まれると激しい痛みと腫れが出ます。バンコクの大学病院の救急を10年間に受診した245人は、足(38.3%)と手(19.1%)を咬まれた人が多く、99.5%が痛み、87%が腫れを訴え、12人(5%)はアナフィラキシーでしたが、死亡はありませんでした。日本でも4歳の女児が、夜に室内で複数回咬まれて約10分後に全身のじんましんと顔の腫れが出た報告があります。

出会ったら

咬まれたら傷口を流水でよく洗います。咬み傷から重い感染に進んだ78歳男性の例があり、洗浄が最初の手当てになります(症例報告)。温める処置が冷やすより良いという根拠は見つかっていません(坂本昌彦)。抗ヒスタミン軟膏を塗ると痛みは比較的早くやわらぎます(堺市)。全身のじんましん・息苦しさ・脱力が出たらすぐ受診します。予防は靴を逆さに置き、寝袋は寝る直前まで閉じておくことです。

出典

  1. 論文・英語 Niruntarai S, Rueanpingwang K, Othong R(Clinical Toxicology)(2021) Patients with centipede bites presenting to a university hospital in Bangkok: a 10-year retrospective study
  2. 論文・英語 Murakami T ほか(American Journal of Case Reports)(2026) Systemic Reaction After Centipede Bite in a Child: Diagnostic Challenges Between Toxic and Hypersensitivity Mechanisms
  3. 論文・英語 Tanaka Y, Mato T ほか(American Journal of Case Reports)(2022) Necrotizing Soft-Tissue Infection of the Trunk Resulting From Wound Caused by a Centipede: A Case Report
  4. 論文・英語 Tanaka Y, Mizushima D, Izawa Y ほか(PLoS One)(2026) Bacterial community associated with the surface and inside of centipede forcipules: Identification and characterization
  5. 資料 公益財団法人 日本中毒情報センター(2024) ムカデに注意しましょう!
  6. 公的機関 堺市 健康福祉局 保健所 生活衛生課 くらしの虫相談係(2025) ムカデ
  7. 資料 坂本昌彦(佐久医療センター小児科副部長、Yahoo!ニュース エキスパート)(2021) ムカデに咬まれたらお湯で温めるべき?誤解されやすい「虫刺され」の知識を医師が解説
  8. 動画・英語 Nat Geo Animals(ナショナルジオグラフィック) Killer Centipede | World's Deadliest

解説動画: ムカデに噛まれたときの対処と、温める・冷やすの検証/小児科医テルの育児チャンネル

被害が増える季節: 現役15年目の小児科医がムカデに噛まれたときの対処を解説する回。ムカデが増えるのは繁殖期にあたる5〜6月ごろで、続く6〜8月は気温が上がって薄着で外出する機会も増えるため、噛まれる被害が多くなる。屋外へ出かける機会が増える時期だからこそ、家族で出かける前に対応を予習しておくとよいと勧めている。

出る症状: 噛まれた場所には激しい痛みが出るのが特徴で、かゆみや腫れも起こる。さらに噛まれた場所だけでなく、頭痛や発熱といった全身の症状が出ることもある。2回目以降に噛まれるとアナフィラキシーショックを起こすことがあるのが最も注意すべき点で、ひどいじんましん、息が苦しくなる、血圧が下がるといった急激な反応が現れ、場合によっては命に関わると説明している。

その場でできること: まず傷口を流水でしっかり洗い流す。細菌が入るのを防ぎ、毒の成分を減らす狙いがある。噛まれた場所を冷やすのも痛みや腫れを和らげる効果があり有効。症状が強い場合はステロイドや抗ヒスタミンの塗り薬が役に立つこともある。症状がひどいときは病院で診察を受けるのがよいとしている。

43度で温める方法の根拠: 多くの医療機関や製薬会社のサイトでは、43度ほどの湯をかける、あるいは湯につける方法が紹介されている。ムカデの毒は熱に弱く、加熱によって失活して効力を失う可能性があるためで、43度という数字は手足をつけてもやけどしない上限の目安として挙げられている。ただし同じページに温めてはいけないという意見が併記されていることもある。

結局どちらがよいのか: 杏林製薬の雑誌が引用する米国の中毒情報センターの情報では、冷やす、温める、鎮痛剤を使うのはどれも同程度の効果と評価されている。同じ記事には、温めると血流がよくなって毒の成分が全身に回り症状を悪化させるかもしれないという指摘もある。医学文献でも熱い湯で痛みが改善した報告と、逆に悪化した患者がいる報告の両方があり、どちらがよいかは調べた限り分からなかったという。そのうえで43度の湯を現場ですぐ用意するのは難しいため、流水でよく洗い、必要なら冷やす方が現実的だと述べている。