蚊

危険生物(虫)

蚊は、身近だけれど病気も運ぶ虫。

見分け方

日中に藪の陰で刺すヒトスジシマカと、夜に室内まで入ってくるアカイエカがよく知られています。バケツや古タイヤのわずかな水でも繁殖し、米国 CDC によるとヤブカ類の卵は水面より上の内壁に産み付けられ、乾いても最長8か月生きます。イエカ類は100〜300個の卵をいかだ状に水面へ産みます。卵から成虫まで7〜10日なので、サイトの周りの溜まり水は週1回、捨てて内側をこすり洗いします。

危険・注意

かゆみで済むことが大半ですが、デング熱や日本脳炎の媒介も知られます。デング熱は2014年に東京で約160人の流行があり、都内で採ったヒトスジシマカから患者由来の株と99%以上一致するウイルスが分離されました。日本脳炎は、感染して発症するのが100〜1,000人に1人と推定され、致命率は20〜30%、届出は近年ほぼ年10例以下です。旅行や野外活動のあとに高熱や強い頭痛が出た場合は、刺された時期と場所を伝えて受診してください。

出会ったら

虫よけは、米国で15人が試した研究で、ディート23.8%の製品が平均約5時間刺されずに済み、濃度が高いほど長く効きました。調べたディート以外の製品は、長い時間は頼れないと著者らは述べています。汗をかいたら塗り直します。ディートは厚生労働省が2005年に、6か月未満は不可・12歳未満は回数制限と定めたので、小さな子どもにはイカリジンが使いやすいです。蚊取り線香は風上側に置き、煙が自分のほうへ流れるようにします。

出典

  1. 公的機関・英語 米国 CDC(疾病対策予防センター)(2024) Aedes Mosquito Life Cycle
  2. 公的機関・英語 米国 CDC(疾病対策予防センター)(2025) Culex Mosquito Life Cycle
  3. 公的機関・英語 米国 CDC(疾病対策予防センター)(2024) Preventing Mosquito Bites
  4. 論文・英語 Kobayashi D ほか(American Journal of Tropical Medicine and Hygiene)(2018) Dengue Virus Infection in Aedes albopictus during the 2014 Autochthonous Dengue Outbreak in Tokyo Metropolis, Japan
  5. 公的機関 前川芳秀ほか(国立感染症研究所 昆虫医科学部、IASR)(2020) ヒトスジシマカの分布域拡大について
  6. 公的機関 田島茂ほか(国立感染症研究所 ウイルス第一部、IASR)(2022) 日本脳炎に関する最近の状況
  7. 論文・英語 Fradin MS, Day JF(New England Journal of Medicine)(2002) Comparative efficacy of insect repellents against mosquito bites
  8. 公的機関 厚生労働省(2005) ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について

解説動画: ハッカ油の虫よけスプレーの作り方と、やってはいけない4つ/【虫対策・お掃除】のプロ技紹介チャンネル

概要とハッカが効く理由: 害虫駆除の業者が、自作されることの多いハッカ油の虫よけスプレーを正しい作り方から解説する。効果の正体はハッカに含まれるメントールで、人にはすっとした心地よい香りでも、嗅覚の発達した虫には強烈な刺激になって避けるようになる。蚊、アブ、コバエ、クモ、ゴキブリなど、家に寄せつけたくない虫に効果が期待できると話している。

100ml分の配合と作る順番: 用意するのはハッカ油、無水エタノール、精製水、スプレーボトルの4つ。まずボトルへ無水エタノール10mlを入れ、その中にハッカ油を10滴垂らす。先にエタノールを入れることで、水と油であるハッカ油がしっかり混ざる。最後に精製水90mlを口まで加え、蓋を閉めてよく振れば完成。水を先に入れると分離してしまうため、この順番は必ず守る。水道水でも代用できるが精製水の方が長持ちする。

やってはいけない4つ: ポリスチレン製のボトルはハッカ油の成分で溶けることがあるので、裏の表記を確認してPEのポリエチレンかPPのポリプロピレンを選ぶ。濃度を濃くしすぎるのも逆効果で、直接触れると刺激が強く、床や家具の塗装やワックスを傷める原因になる。猫はハッカ油の成分を体内で分解する力が非常に低く、使い続けると中毒症状の危険があるため、猫のいる家庭や赤ちゃんの近くでは控える。直射日光の当たる場所は品質が落ちるので冷暗所に保管する。

効かせたい場所: 虫の侵入経路をふさぐイメージで、網戸、玄関、キッチンのゴミ箱まわり、風呂やキッチンの排水口にスプレーする。網戸は外から虫が寄ってくるのを防ぐ最重要ポイント。スプレーしにくい場所には、小皿に重曹を盛ってハッカ油を5〜6滴垂らしたものを玄関や下駄箱、クローゼット、物置に置くと、香りが穏やかに広がって虫を寄せつけない。エアコンのフィルターや24時間換気の給気フィルターへ軽く一吹きするのも応用として挙げている。

解説動画(海外・英語): What is DEET? How Mosquito Repellent Works/Ecotasia

刺すのはメスだけ。かゆみの正体: 蚊はハエの仲間で、ふだんは主に植物の汁を吸っている。多くの種でメスだけが吸血性になり、血の栄養で卵を作る。吸えば吸うほど卵が増え、蚊が増えてまた吸う、という正のフィードバックになっている。刺されたあとのかゆい膨らみ(膨疹)の正体は、蚊の唾液に含まれる抗凝固物質を排除しようとして体が出したヒスタミン。唾液に抗凝固物質が入っているのは血をすらすら吸い上げるため。そして蚊は唾液を通じてさまざまなウイルスを媒介し、毎年ほかのどの動物群よりも多くの人を死なせている。

蚊はどうやって人を見つけるのか: 蚊は主に「におい」で獲物を探す。およそ30m(100フィート)先から、人が出す二酸化炭素と乳酸を検知できる。加えて動きを見て、近づけば体温も感じ取る——この3つで的に導かれる。忌避剤を理解するには、この探索の仕組みを押さえておく必要がある。

DEETは「におい隠し」ではなかった: 最も有名な忌避剤であるDEET(ディート)について、長年の仮説は「蚊の嗅覚受容体に結合して、人を化学的に見えなくする」というものだった。ところがその後の研究で分かったのは、DEETは単純に蚊が嫌うにおいだということ。さらにある研究では、DEETに繰り返しさらされた蚊が、その嫌悪を学習で克服できることが示された。他の忌避剤は研究が少ないが、イカリジン(ピカリジン)はDEETと同じ場所に結合するうえ、もう一つ別の結合部位も持つらしいことが分かっている。

天然由来で唯一CDCが推奨しているもの: 人工の化合物のほかに、いくつかの天然の精油に忌避作用がある。中でもレモンユーカリ油に含まれるPMD(パラメンタン-3,8-ジオール。パッケージにはPMDと書かれることが多い)は、CDCが推奨する唯一の天然化合物。ただし作者は正直に、生化学的にどう効いているのかについては情報を見つけられず、効くということしか分からなかったと述べている。