スキレット

調理器具

スキレットは、厚い鉄が焼き色を一段変える鉄製のフライパン。

どんな道具?

厚みのある鋳鉄でできたフライパンです。熱を蓄えて保つと、製造元のLodgeは説明します。イリノイ大学の資料は、軽いアルミの鍋より熱が均一に回ると書いています。焼き上がりをそのまま器として食卓に出せるので、洗い物も一枚減ります。1986年の研究は、20種類の食品を鉄の器具と非鉄の器具で調理して比べ、9割で鉄の器具のほうが、鉄分が有意に多かったと報告しています。同じ鉄のフライパンで50回作り続けた実験(1991年)でも、非鉄の器具で作るより鉄分が多いままでした。

選び方

大きさは直径で選びます。ひとり分のおつまみ程度なら小さめ、家族の主菜なら大きめが使いやすいです。鋳鉄は重いので、運ぶ距離と洗う手間から無理のない大きさを選ぶのがコツです。熱の回りを重視するなら、軽いアルミの鍋より均一に熱が回る鋳鉄が向きます(イリノイ大学の資料)。ふた付きなら蒸し焼きや煮込みにも広がります。重さが気になるなら、鉄のフライパンのうち炭素鋼も候補になります。MinuteFood(英語の動画)は、炭素鋼でも手入れの考え方はほぼ同じだと話しています。

使い方のコツ

使い始めは油ならしをします。メイン大学の普及資料は、薄く油を塗って鍋を逆さにし、450°Fのオーブンで1時間焼くのを3〜5回繰り返すと書いています。イリノイ大学の資料は、油ならしを焦げつき防止の下ごしらえと説明しています。油ならしした面は食材がくっつきにくくなりますが、焦げつかない加工ではありません(MinuteFood)。熱いうちに冷水をかけると反ったり割れたりするので、急に冷やすのは避けてください。同じ動画は、料理するたびに油膜が足されるか削られると話します。

手入れ・注意

洗剤は使わないか少量にするよう、メイン大学とミシシッピ州立大学の普及資料は書いています。MinuteFood(英語の動画)は、少量の食器用洗剤では油膜は落ちないと話します。つけ置きと、濡れたまま置くことは避ける。三つの資料とも同じ注意です。メイン大学の資料は、使うたびに弱火で水気を飛ばし、食用油を薄く塗るよう書いています。ミシシッピ州立大学の資料は、赤さびは濡れたタオルと粗塩でこすり、取れなければ酢に最長15分ずつ浸すと書いています。同じ動画は、ひどい傷みなら油ならしを最初からやり直せばよいと話します。

出典

  1. 論文・英語 Brittin HC, Nossaman CE(Journal of the American Dietetic Association)(1986) Iron content of food cooked in iron utensils
  2. 論文・英語 Cheng YJ, Brittin HC(Journal of Food Science)(1991) Iron in food: effect of continued use of iron cookware
  3. 公的機関・英語 Alex Bosse(University of Maine Cooperative Extension)(2024) Cast Iron Basics: How to Clean, Season, and Maintain Your Cast Iron Pan
  4. 公的機関・英語 Michaela Parker(Mississippi State University Extension) how care for cast iron
  5. 公的機関・英語 Jenna Smith(University of Illinois Extension)(2024) Guide to cast iron cookware(Simply Nutritious, Quick and Delicious)
  6. 動画・英語 Lodge Cast Iron(製造元の公式チャンネル) How to use a Cook-It-All from Lodge Cast Iron
  7. 動画・英語 MinuteFood Simple rules for cast iron care

解説動画: スキレットのシーズニングと使い始めの焼き入れ手順/ザキ's kitchen

概要: 300円で買った小さなスキレットを題材に、鉄フライパンと同じ手順でシーズニングしている。錆止めを焼き切り、焼き入れで鉄の色を変え、薄く油を塗って加熱するのを3回繰り返し、最後に香味野菜を炒めるという流れ。仕上げたスキレットで卵を焼いて張り付かないことを確かめつつ、食材がくっつくかどうかはシーズニングとはまた別の問題で、多少関係する程度だとも断っている。

まず錆止めを焼き切る: 鋳鉄は何もしないで置いておくだけで空気中の水分と結びついて赤錆が出るため、新品には防錆剤が塗ってある。これを5分ほど火にかけて焼き切る。ただし熱いまま水につけると温度差で割れることがある。スキレットは厚みがあるので急冷しても変形はしないが割れる可能性があり、薄い鉄フライパンなら底が変形すると経験から話している。ある程度冷めてから洗剤とたわしで洗う。

焼き入れで鉄の色を変える: 洗い終わったらそのまま火にかけ、5分ほど焼くとスキレットの色が少し変わる。色が変わったところで焼き入れは終了で、鉄を酸化させて四酸化三鉄に変えておくと、このあと塗る油との結合がよくなるという理屈。煙が出るが気にしなくてよい。この工程を省いてもシーズニング自体は成立すると断ったうえで、やる価値のあるひと手間として扱っている。

油は薄く塗って3回繰り返す: 熱々のうちに油を入れるとすぐ枯渇してしまうので、油を差しても煙が立たない温度まで下がるのを待つ。油はできるだけ薄く塗るのが要点で、厚塗りするとシーズニングが終わるまで時間がかかるだけ。裏面は最初の1回だけ塗ればよい。火にかけて煙が出たら止め、冷めたらまた油を塗る。この往復を3回ほど繰り返せば十分な膜になる。

香味野菜で仕上げ、その後は洗剤で洗う: 最後ににんじんやねぎなどの香味野菜をくたくたになるまで強火で炒める。鉄のにおいを抜き、揚げ油が使うほど酸化するのと同じ理屈で油の酸化も進める。ここまで固まると側面はテカって見えても触るとべたつかず、赤錆が浮かないのでそのまま置いて保管できる。以後は使ったら洗剤で洗うこと。洗わずに使い続けると固まりきらない油が重なり、食材のたんぱく質と結びついて汚い焦げになる。