隅木
軒を出す部材
時代: 時代を通じて
屋根の隅を斜めに走る、いちばん太い材です。左右から寄ってくる垂木の内端をここで受け止め、軒が隅へ向かって反り上がる形も、この一本の据え方で決まります。
何をしている部材か
屋根の隅を、棟の端から軒先へ四十五度に下る太い斜材です。両側の平から寄ってくる垂木の内端をこの材へ突き付け、外端は桁の隅へ載せます。軒の出と隅で反り上がる線は、この一本の据え方でほぼ決まります。二軒では下に地隅木、上に飛檐隅木が重なり、上下二段の垂木列をそれぞれ受けます。取り付く垂木は隅へ寄るほど短くなる配付垂木で、一本ずつ長さも勾配も違います。奈良県の唐招提寺金堂や京都府の醍醐寺五重塔で確かめられます。
見分けの決め手
建物の角の外側、対角線の延長に立って軒裏を見上げます。四方へ落ちる屋根なら、隅にだけ平の垂木の二倍前後の太さの材が一本走っています。左右の垂木がその側面へ斜めに突き当たり、隅へ寄るほど垂木が短くなるなら配付垂木で、受けているのが隅木です。二軒の建物では隅木も上下に重なり、木口が木負と茅負の隅に並びます。太さの比べ方は見上げる角度で狂うので、平の垂木と並べて見ます。
どの様式・時代に多いか
時代を通じて使われますが、隅の見え方は様式で動きます。奈良県の唐招提寺金堂のような古代の建物は反りが浅く、隅木も直線に近い姿です。中世以降は隅で反りを増す扱いが強まり、山口県の瑠璃光寺五重塔では上層ほど隅が高く上がります。扇垂木を使う禅宗様では垂木が放射状に開くため、長野県の安楽寺八角三重塔のように隅木が垂木の列に紛れて見える軒になります。
取り違えやすい相手
尾垂木と紛れます。その材が組物から出ているか、屋根の隅を走っているかで分けます。尾垂木は三手先などの組物の中から斜め前へ突き出す材で、平の柱間にも組物の数だけ並びます。隅木は隅に一本だけあり、組物より上、垂木と同じ層を走ります。京都府の醍醐寺五重塔では隅で両方が重なって見えるので、出ている高さと本数を先に数えると取り違えません。
どこに立つと見えるか
軒の真下ではなく、建物の角から対角線上に十数歩離れた位置に立つと、隅の線が空を背にして出ます。奈良県の唐招提寺金堂では正面の階段を外れて隅へ回ると、軒先が隅へ向かって持ち上がる曲がりが読めます。反り屋根の反りは隅でいちばん強く出る場所です。塔は見上げる角が急なので、山口県の瑠璃光寺五重塔や長野県の安楽寺八角三重塔では少し離れて層ごとに隅を追うほうが形が分かります。