繁垂木
軒を出す部材
時代: 時代を通じて
垂木を、隙間が垂木の幅ほどしかない密さで並べる納め方です。間隔の詰め方には呼び分けがあり、隙間を広くとる疎垂木と対になって語られます。
何をしている部材か
軒裏に並ぶ垂木の間隔を詰めて本数を増やした納め方で、部材としての役目は疎垂木と変わりません。垂木は桁と木負に架かり、上の野地板と屋根葺材の重さを受けて下へ渡します。同じ荷重でも本数が増えれば一本あたりの負担が軽くなるため、大きな屋根ほど詰まります。二軒なら上下の段とも同じ密さで並びます。並べ方は本繁・半繁・疎と呼び分けられ、京都府の蓮華王院本堂や滋賀県の長寿寺本堂のような堂が詰めた側にあたります。
見分けの決め手
柱間ひとつを区切って、垂木の本数と隙間の幅を数えます。柱の中心から隣の柱の中心までを見て、垂木と隙間がほぼ同じ幅で交互に並ぶなら本繁、隙間が垂木の幅の一倍半ほどなら半繁、二倍以上あくなら疎垂木の側です。数えた値はどこからどこまでを一区切りにしたかを言えないと比べられません。隅は隅木へ取り付く配付垂木で間隔が乱れるため、平の中央で数えます。
どの様式・時代に多いか
時代を通じて見られますが、詰めた並びは中世の和様で標準になります。背景にあるのが枝割という考え方で、垂木一本と隙間一つを「一枝」と数え、柱間や部材の寸法をその倍数で決めます。江戸初期の木割書『匠明』を翻刻した紙の資料に整理があり、この項の呼び名もそこに拠ります。兵庫県の鶴林寺本堂や滋賀県の長寿寺本堂は詰めた並びが定着した頃の建物で、京都府の蓮華王院本堂も同じ流れに入ります。
取り違えやすい相手
分かれ目になるのは疎垂木と扇垂木で、間隔の話と向きの話を混ぜないことが要ります。疎垂木は同じ平行の並びで隙間だけが広い納め方なので、繁垂木との違いは詰め方の一点にあります。扇垂木は隙間ではなく垂木の向きが放射状に開く納め方で、詰まっていても扇垂木は扇垂木です。まず平行か放射かを決め、その後で隙間を測る順で見れば、二つの軸が混ざりません。
どこに立つと見えるか
軒の下へ入り、平の中央で真上を仰ぐ位置がいちばん数えやすい場所です。斜めから見ると垂木が重なって隙間が消えるので、斜めの角度で密さを判断しないようにします。京都府の蓮華王院本堂のように長い建物では、縁に沿って歩きながら柱間ごとに数えられます。滋賀県の長寿寺本堂や兵庫県の鶴林寺本堂では、向拝ではなく身舎側の軒を見ると本来の並びが出ます。