ホオジロの一筆啓上
さえずり
こずえの先で、正面を向いて鳴きます。声の主を目で確かめられる数少ないさえずりで、河川敷や農地では姿と声を結び付けやすい相手です。
聞きなし
聞きなしは「一筆啓上仕り候」、地方によっては「源平つつじ白つつじ」とも当てます。日本野鳥の会は同じ声を「チョッピーチリーチョチーツク」と書き取っており、聞きなしは覚えるための当て字で、鳥が言葉を出しているわけではありません。文句そのものより、短い音が段になって下りる調子を覚えるほうが役に立ちます。ホオジロの一節は短く、数秒で区切れます。
さえずりか地鳴きか
高いところから出るこの節がさえずりです。地鳴きは「チチッ」「チッ」と短く、藪の中や草の間から出ます。声だけでなく姿勢で分かる部類で、てっぺんに出て繰り返していれば、まずさえずりです。目立つ場所を選んで鳴く習性そのものが、近づかずに声の主を確かめられる手がかりになります。こずえの一点に出るので、過眼線の入った顔まで見える距離で声と姿が結び付きます。
いつ・どこから聞こえるか
春から夏の繁殖期に、河川敷のヨシ原と草地や田んぼと用水路のまわり、林のふちの明るい場所で聞こえます。電柱の腕金、杭の先、低木のこずえなど、周りより高い一点を選んで鳴きます。草丈の低い斜面や堤防の道沿いに多く、林の奥へ入るほど声は減ります。朝から昼にかけてよく続き、同じ止まり場に何度も戻るため、一度見つければしばらく声の主を眺められます。
似た声との違い
同じホオジロの仲間でも、アオジがもっとゆっくり途切れがちに鳴き、藪の中から出てきません。冬鳥のカシラダカが春の渡り前に低くさえずることもあります。カワラヒワは早口で、「ビィーン」と濁って伸ばす音が混じるのが分かれ目です。アオジは冬に平地へ下りてくるため、季節によって重なる相手も入れ替わります。止まっている高さと、濁りの有無の二つで当たりを付けます。
この声で何をしているか
自分の居場所を隠さずに知らせる声です。高い一点に出て鳴くのは、声と姿の両方を遠くまで届けるためで、藪に隠れて鳴く鳥とは組み立てが違います。縄張りの位置がそのまま止まり場に出ているので、双眼鏡を上げるだけで用が足り、草地に踏み込む理由がありません。営巣は地面に近い草むらなので、声に近づこうとして草を分けるほうが影響は大きくなります。