水温

魚に効く数字

効く相手: 全部

水温は、ほかの数字の意味を書き換えます。酸素の上限、アンモニアの毒の割合、硝化の速さ、魚の食欲がまとめて動きます。

何を表す数字か

水そのものの温度です。気温ではなく、魚と菌と根が浸かっている水の温度を指します。これが動くと、酸素の上限、非イオン性アンモニア(NH₃)の割合、硝化の速さ、魚の食べる量がまとめて動きます。ほかの数字はどれも水温を前提にした値です。魚と作物と菌で心地よい幅が違うため、どこで折り合うかも水温の話になります。

目安の範囲

ニューメキシコ州立大学 Circular 680 は、温水魚を18〜29 ℃、マス類を13〜18 ℃とし、硝化菌が最もよく働くのは 25〜30 ℃としています。ヤマメ・アマゴのような渓流の魚はこの下側の帯に入り、20 ℃が越えられない線になります。FAO の手引き(Somerville ら 2014)が示す三者の折り合いは18〜30 ℃で、硝化菌の許容範囲のほうは 17〜34 ℃ です。

動くと何が起きるか

上がると酸素の上限が下がり、毒の側の割合が増え、魚の呼吸が速くなります。水温が上がったまま下がらないが重いのは、この三つが同時に来るからです。17 ℃を下回ると硝化が鈍りはじめ、二段目の菌が先に落ちるので、亜硝酸だけが残ります。10 ℃を下回ると働きは5割以上落ちることがあります(Somerville ら 2014、FAO 技術報告589)。

測りかた

水温計を同じ深さ、同じ時刻で読みます。日なたの表層と底では差が出るので、置き場所を決めておきます。明け方といちばん暑い時間の二点を取ると、一日の振れ幅が見えます。pH計や溶存酸素計は水温で補正しているため、水温がずれるとほかの数字も一緒にずれます。温めるにも冷やすにも、急に変えないことが要点です。

誰がどう測った値か

18〜29 ℃と25〜30 ℃はニューメキシコ州立大学 Circular 680 の値で、ティラピアとマスを念頭に置いた普及資料です。17〜34 ℃と、17 ℃を下回ると落ちはじめ 10 ℃で5割以上という数字は FAO の手引き(技術報告589、Somerville ら 2014)にあります。どちらも小規模な系の運用指針で、魚種ごとの実験値ではありません。

解説動画: 夏場の高水温対策!実質500円で水槽の水温を7度下げる/趣味のDIY作家 やま

三十三度の水槽: 動画は、夏の水槽の水温が三十三度まで上がっていたところから始まります。熱帯魚は三十度を超えると危ないと言われているので、これはとても危険な状態だと投稿者は言います。ろ過をつないだ隣の大きい水槽も三十二度台。忙しくて目を離していた間に、ここまで来ていたと述べます。

蓋が熱をこもらせる: 最初にやったのは、水槽のガラス蓋を外すことです。蓋があると水面と蓋の間の空気が動かないので、気化熱で熱が逃げる道がふさがれると説明します。ただ外したままだと魚が飛び出すため、代わりに金網を載せて蓋の役目をさせます。密閉できる蓋は冬の蒸発止めには効くが、夏は苦しいと述べます。

水面に風を当てる: 次に小さな送風機を照明と同じように鎖で吊り、水面へ直接風を当てます。首を振らせて、水面が揺れるところまで向きを合わせる。一時間半ほどで三十度台まで下がり、何もしていない隣の水槽との差は二度半以上。二日後には二十六度台で、始めからおよそ七度低い値になったと報告します。

減る水と手入れ: 動画は不都合も並べます。網に替えたぶんはねた水が外へ飛び、網目から水滴も落ちる。風を当て続けると四日で目に見えるほど水が減るので、足し水がいります。送風機には埃がたまるので、ときどきの掃除もいります。効いているのは蒸発そのものなので、水が減るのは避けられないと述べます。

気づいた時には: 動画は最後に、忙しくて見ていない間に三十三度まで来ていたと振り返ります。使った送風機も湿気のある場所向けに作られた物ではないので、真似るなら自己責任だと断り、続けるなら足し水と掃除がいると念を押します。水温が上がったまま下がらないにしないために、この本は同じ場所と時刻で読むことを先に置いています。