溶存酸素(DO)

魚に効く数字

効く相手: 全部

魚と硝化菌が先に取り、根は最後です。5 mg/L を下回ると魚が苦しみ、2 mg/L を切ると硝化そのものが落ちます。

何を表す数字か

水に溶けた酸素分子の量で、単位は mg/L(ppm)です。空気の中の酸素とは別のもので、鰓も根も菌もこの溶けたぶんしか使えません。一つの水から魚が使う酸素、硝化に要る酸素、根が使う酸素が同時に引かれていくので、三者の取り合いになります。水温が上がるほど溶けられる量は減るため、同じ数字でも季節で余裕が違います。

目安の範囲

ニューメキシコ州立大学 Circular 680 は、温水魚で約 5 ppm、冷水魚で約 6.5 ppmが要ると書き、系としては5 ppm 以上を挙げています。FAO の手引き(Somerville ら 2014)は硝化菌の最適を4〜8 mg/L、三者の折り合いを5 mg/L 以上とし、2 mg/L を下回ると硝化が落ちるとしています。

動くと何が起きるか

下がると魚が水面へ寄り、餌を残すようになります。厄介なのは、硝化も同時に鈍って総アンモニア態窒素(TAN)と亜硝酸態窒素(NO₂-N)が一緒に上がるところです。根の側は根が茶色くぬめるへ進みます。夜間、高い水温、魚が大きいときほど下がります。入れすぎの害はほとんどないので、迷ったら曝気を足す側に倒します。

測りかた

溶存酸素計か試薬で読みます。池でもタンクでも夜明け前が最低で夕方が最高になるので(SRAC 4601)、朝いちばんと夕方の二回、同じ場所で測ります。プローブは毎秒30 cm ほど動かし続け、15〜20秒待ってから読みます。止めたままだと膜の周りの酸素が減り、低い値が出ます。魚の位置は目安にしかなりません。

誰がどう測った値か

5 ppm 以上はニューメキシコ州立大学 Circular 680、5〜8 mg/Lは FAO の手引き(Somerville ら 2014)の値で、どちらも普及資料がまとめた推奨値です。測りかたのほうは SRAC 4601(Hargreaves と Tucker 2002)で、米国の養殖池とタンクを対象にしています。家庭の水槽で検証された手順ではありません。

解説動画: 【お悩み解消】エアーポンプが無い水槽でも酸素供給される理由/アクアリウム大学【アクアレンタリウム公式】

泡が酸素ではない: 動画はまず、ぶくぶくの泡そのものが酸素を入れているわけではないと言います。送っているのは空気で、その泡が上がって水面ではじけ、そこで水面が揺れることによって空気中の酸素が水に入っていく。広い海で酸素が溶けている道筋も、植物プランクトンの光合成と空気からの取り込みの二つだと並べます。

水面が動いているか: 撮影者の失敗談が続きます。海水魚の水槽で水の出口が下を向いていて、水面がまったく揺れず、魚が酸欠気味になった。出口の向きを変えて水面を揺らしたところ状態が戻り、好気性の菌も活発になって水がきれいになったと言います。以来どの水槽でも水面を揺らす作りにしているそうです(→気体の出入り(水面と気泡))。

水草の水槽は別: 二酸化炭素を添加する水草の水槽では、曝気を一緒に出すとせっかくのCO₂が飛んでしまう。そこで昼は添加、照明が消えた夜は水草も二酸化炭素を出す側に回るので曝気、とタイマーで入れ替えると説明します。同じ水でも、昼と夜で足すものが入れ替わるという話です(→遊離二酸化炭素(CO₂))。

夏に足りなくなる: 水温が高いほど酸素は溶けにくく、冷たいほどよく溶けます。北極のような冷たい海は酸素が豊富だと言われる、という例を挙げ、夏に酸欠が出やすいのはこのためだと言います。だから暑い時期は曝気を足して助ける側に倒しておく、という置き方です。停電のときも水温の上下のほうが怖いと言い添えます。

口をぱくぱくと停電: 水面の際が水槽でいちばん酸素の濃いところなので、水面で口をぱくぱくさせるのはそこまで上がってきている印だと見ます。曝気を足す、水を換えるといった手当てを挙げ、停電のときはバケツに汲んだ水を、水面が波立つように注ぎ戻す手も示します。器具が止まったときの逃げ道です。