酸素飽和度

魚に効く数字

効く相手: 魚

同じ6mg/Lでも、水温が違えば意味が違います。水が抱えられる酸素の上限は水温で決まるので、mg/L と % の両方で読みます。

何を表す数字か

mg/L がいま溶けている量そのものなのに対して、飽和度はその水温と気圧で溶けられる上限に対する割合です。上限は水温が上がるほど小さくなります。だから同じ mg/L でも、夏と冬では余裕の意味が変わります。溶存酸素(DO)の値と並べて読むための、もう一本の物差しだと考えると分かりやすくなります。

目安の範囲

SRAC 452 の淡水・海面気圧の表では、上限は10 ℃で 10.92 mg/L、20 ℃で 8.84 mg/L、30 ℃で 7.53 mg/Lです。同じ資料は、魚の目安を飽和の6割以上、または 5 ppm 以上としています。標高が上がると気圧が下がり、上限も一緒に下がるので、高いところでは同じ割合でも量が少なくなります。

動くと何が起きるか

6 mg/Lという値は、10 ℃なら上限の6割足らず、30 ℃なら8割にあたります。同じ数字が、水温しだいで余裕にも不足にもなります。上限を超えた過飽和のほうは総ガス圧(TGP)という別の物差しの話で、主役は窒素なので、酸素の値だけではガス病を見分けられません(Goddek ら 2019)。気泡が体の中にできる状態です。

測りかた

溶存酸素計は、水温と気圧と塩分を補正して割合を出します。湿らせた空気の中で、使うたびに校正します。標高の設定を忘れると割合がまるごとずれます。表から手で出すときは、測った mg/L を水温に対応する上限で割ります。割合と mg/L は、両方そろえて記録に残します。気圧が大きく変わる日は、朝と夕でもう一度校正をやり直します。

誰がどう測った値か

上限の表は SRAC 452(Masser ら 1999)のもので、淡水・海面気圧という条件がついています。飽和の6割以上も、同じ資料の循環式タンク向けの目安です。総ガス圧の説明は Goddek ら 2019 のオープンアクセス書籍(Espinal と Matulić の章)から取りました。家庭規模で測り直した値ではありません。

解説動画: 【アクアリウム・金魚】水槽飼育で気になる酸素(酸欠)について考察してみた/よっしー金魚chan

中身と箱を分ける: 動画は、金魚は1匹5リットル・10リットル、空気は送ったほうがいいのかどうか——よく聞くこの言い方のどれが本当なのか、という自分の疑問から始まります。まず言葉を置き換え、溶存酸素量を酸素の数、溶存酸素飽和量を酸素を入れる箱、つまりその水が溶かしていられる限界と言い直します(→溶存酸素(DO))。

箱を小さくするもの: 箱の大きさを変えるものとして、水温・塩・有機物を挙げます。水温が上がるほど箱は小さくなり、冷たいほど大きくなる。夏に酸素が足りなくなるのはこれが一つで、魚も菌も活発になって消費が増えるぶんが重なると述べます。水が汚れたときも同じように箱は小さくなる、と続けます(→水温)。

グラフで持っておく: 純水の上限を引いた線に、有機物を含むぶん低いはずだという飼育水の帯を仮説として重ね、その下に魚が最低限要る量の帯を置いて見せます。下回れば水面で口を動かしはじめる危ない状態。数値を覚えるより、この形を思い浮かべられるほうがよい、という見せ方です(→水面で口をぱくぱくさせる)。

減らすと、入れる: やることは二つに絞られます。ひとつは消費を減らすこと——分解のもとになる有機物を減らす、つまり水換えです。もうひとつが吸収を増やすことで、空気に触れる面を広げ、酸素の少ない水を水面へ運び、水面の水を全体へ回す。効く手のほとんどが、ろ過の水の動かし方に集まると整理していきます。

考察として読む: 最後に、魚1匹あたり何リットルという言い方や、空気を送るかどうかは、酸素の面から出てきた話ではなさそうだと結びます。泳ぎやすさや大きく育つこと、水を汚しにくいことの側だろう、と。論文やネットの情報を自分なりに解釈した考察だと断っている動画なので、そこも含めて読みます。