遊離二酸化炭素(CO₂)

魚に効く数字

効く相手: 魚

酸素が足りていても、苦しいことがあります。魚と菌の呼吸で溜まった CO₂ は、pH も一緒に下げます。

何を表す数字か

水に溶けたまま反応していない二酸化炭素です。魚が使う酸素と分解が奪う酸素の裏側で必ず出てきて、水と結んで炭酸になり、pH を押し下げます。魚は鰓から CO₂ を捨てているので、水の側が濃いと体の中に溜まっていきます。空気に触れる面が広いほど抜けやすく、閉じた水ほど溜まりやすくなります。

目安の範囲

SRAC 468 は、池の夜明けの最大をふつう10〜15 mg/Lとし、20 mg/L を超えると問題になりうる境目としています。SRAC 452 の循環式タンクの表も 20 ppm 未満です。pH とアルカリ度と CO₂ は互いに結びついていて、二つが決まれば残りは図から読めます。

動くと何が起きるか

効くのは魚です。血の中の CO₂ が抜けにくくなり、ヘモグロビンが酸素をつかむ力が落ちます。えらの動きが速いのに溶存酸素は足りている、という食い違いが起きるのはこのためです。曝気は酸素を入れるだけの仕掛けに見えますが、同じ時間に CO₂ を追い出す仕事もしています。蓋をしたDWC(浮き床の水耕)では、その抜け道が減ります。

測りかた

試薬で直に測るか、pHとアルカリ度(KH)から図で見積もります(SRAC 468)。汲むときに泡立てると抜けてしまうので、飛沫を立てないように汲み、すぐ測ります。バケツに取った水へエアストーンを30分ほど入れ、pH が1以上上がれば CO₂ が溜まっていた印になります(SRAC 468)。夜明けがいちばん高く出ます。

誰がどう測った値か

10〜15 mg/Lと20 mg/Lは SRAC 468(Hargreaves と Brunson 1996)の値で、米国のナマズ養殖池を対象にしています。20 ppm 未満のほうは SRAC 452(Masser ら 1999)の循環式タンク向けの表です。池とタンクでは出方が違い、家庭規模の水槽で測り直した値ではありません。

解説動画: AQUA | Water Quality: Carbon dioxide, Hydrogen sulfide & Heavy metals | 5DVM-B (2022-2023)/Pinoy Vet Acadz

呼吸から出るもの: 獣医学の講義動画で、水質の回のうち二酸化炭素・硫化水素・重金属を扱う短い一本です。CO₂は水の中の植物と動物の呼吸から出てくるもので、自然の水では高くなりやすいと最初に置きます(→魚が使う酸素)。昼のあいだは水生植物がこれを使い、光合成で酸素を出す、という往復から話が始まります。

酸素と裏返しに動く: 動画は、CO₂と溶存酸素は逆の関係にあると言います。CO₂が低いときは酸素が高く、その逆も同じ。だから水の中のCO₂の量は、光合成がうまく進んでいるかどうかを映す指標として読める、という置き方をします(→溶存酸素(DO))。同じ水の二つの気体を、対で見る形です。

昼に高いのは何の印か: 昼間に高い値が出るのは光合成が十分に進んでいない印だと動画は説明します。植物プランクトンがCO₂を使い切れておらず、そのぶん酸素も足りるほどには出せていない。逆に低い値なら光合成は進んでいる。数字そのものより、昼にどちらへ振れているかで読むという見方をとります。

曝気は二つ働く: 屋内の種苗施設では植物プランクトンを増やさない作りにするので、酸素は曝気の器具だけで入れることになります。動画はその曝気に二つの働きがあるとし、酸素をちょうどよい量まで入れることと、たまりすぎたCO₂やアンモニアを抜くことを並べます(→総アンモニア態窒素(TAN))。

10 ppm 未満へ: 保つ水準として動画が挙げるのは10 ppm 未満です。続けて硫化水素は0.1 µg/Lを超えないこと、重金属は元素ごとの限度表で見ることも並べ、水質を気体と物質それぞれの上限で押さえる形で締めます。CO₂はここでも抜くべき気体として扱われている、という位置づけになります。