亜硝酸態窒素(NO₂-N)
魚に効く数字
効く相手: 魚
血が酸素を運べなくなる数字です。立ち上げの途中と、硝化が追いつかなくなったときに上がります。
何を表す数字か
硝化の途中にできる窒素です。アンモニアから亜硝酸へで生まれ、亜硝酸から硝酸へで消えていきます。たまるのは、二段目が一段目に追いついていないときだけです。表記には NO₂ と NO₂-N があり、同じ水でも値が3.3倍ずれるので、試薬の箱がどちらで刻んであるかを先に見ます。次の硝酸まで進めば毒はぐっと弱まる、その手前の一段です。
目安の範囲
ニューメキシコ州立大学 Circular 680 は1 mg/L 未満を目安に置き、5 mg/L で魚に毒としています。SRAC 452 の循環式タンクの表は、NO₂-N で0.5 mg/L 未満。FAO の手引き(Somerville ら 2014)は、0.25 mg/L でも不調が出る魚がいると書いています。魚種による幅が大きい数字です。
動くと何が起きるか
鰓から血へ入り、酸素を運ぶヘモグロビンをメトヘモグロビンに変えます。血がチョコレート色になり、水に酸素があっても水面で口を開けます。亜硝酸が跳ね上がったときは、餌を止めて水を入れ替え、溶存酸素(DO)を上げるところまでが水の側の手当てです。植物はこの形をほとんど使いません。低い濃度でも長く続けば体力を削るので、ゼロに戻るまで餌の量は戻しません。
測りかた
比色試薬で読みます。立ち上げの途中と、餌を増やした直後の数日が上がりやすい時期です。濃すぎると色が振り切れて低く見えるので、同量の水で薄めて測り、読んだ値を2倍します。試験紙の測りかたは速い代わりに粗いため、判断は比色試薬の測りかたに寄せます。アンモニアと同じ水で並べて測ると、二段のどちらが遅れているかが見えます。
誰がどう測った値か
1 mg/Lと5 mg/Lはニューメキシコ州立大学 Circular 680 の値で、ティラピアの系を主に見ています。SRAC 462(Durborow ら 1997)は米国のナマズ養殖池のもので、ブルーギルなどは強く、マス類はごく低い濃度で弱ると魚種差を明記しています。ニジマスの系では同じ値でも余裕が小さく、いずれも家庭規模で測り直した値ではありません。
解説動画: 初心者に伝えたいNO2の考え方【アクアリウム】【亜硝酸】【水質】/株式会社セラジャパン
どこから出るか: 動画は亜硝酸を、餌の残りと魚の排泄物が菌に分解されていく途中で生まれるものとして説明します。最後の硝酸まで進めばひとまず落ち着くけれど、その手前のアンモニアと亜硝酸は魚の生き死にに直結する。しかも酸性でも弱アルカリ性でも有害で、水の性質では逃げられないと言います(→アンモニアから亜硝酸へ)。
動画が挙げる目安: 数字も具体的に挙げます。いちばん良いのは0、0.9 mg/Lまでなら水が汚れてきたという警告どまり、それを超えると魚に危機が迫っていて、3.3 mg/L 以上は危険な水準。有害物質はどれも0がいちばんだと言い、亜硝酸だけを見ずにほかの物質と並べて測るよう勧めます(→亜硝酸が跳ね上がった)。
出たら無い、は誤解: 「亜硝酸が出ているならアンモニアはもう無い」という言い方を、動画は大きな落とし穴と呼びます。物質そのものは分解されて次の形に変わりますが、水槽では魚が24時間ものを出し続けているので、分解の途中の形がいつも混じっている。両方が同時に出ることはふつうにあると述べます。
だから測り続ける: 1日目、2日目と並べた図についても、実際にその時間で進むという意味ではないと断ります。立ち上げの初日からアンモニアも硝酸も出ず、亜硝酸だけが上がっていた例も挙げ、定期的に測るほかないと結びます。魚と餌の量が動けば、受けとめる菌の側にも余裕が要るという話に着地します(→生物ろ過の担い手)。