ナイルティラピア
温水性の魚
水温帯: 温水(20〜30℃)
暖かい水を保てるかどうかで、飼えるかが決まります。24〜32℃では季節に関係なく産卵し、水温が下がると動かなくなります。
どんな魚か
アフリカ原産のカワスズメ科で、体は横に平たく、背びれが長く続きます。水質の幅が広く、扱われても弱りにくいため、世界のアクアポニックスで最初に挙がる魚になりました。50gの稚魚から500gまで、条件が整えば6か月ほどで育ちます(FAO 2014)。雑食で何でも口にします。全長15cm未満の個体は小さい魚を襲い、オスは縄張りを張ります。大きさをそろえ、メディアベッドのような広い床と組むのが定石です。
水温とpHの範囲
FAO 2014(技術報告589)の表は生存14〜36℃・最適27〜30℃、溶存酸素4mg/L以上を挙げます。国立環境研究所の侵入生物データベースは耐性を16〜37℃、適温を24〜32℃としています。17℃を下回ると餌を食べず、12℃で死にます。pHは6.0〜8.5に耐えるとされ、この魚が理由でpHを動かす必要はありません。系の折り合いである6.5〜7.0の側から決められます。
餌と成長
雑食で、配合飼料は粗タンパク28〜32%が目安です(FAO 2014)。同じ資料は体重100g以上の魚に1日あたり体重の1%を挙げ、餌1.4〜1.8kgで1kg増える範囲を良い状態としています。水温が下がると食べる量も落ちるので、季節で減らします。食べ残しは総アンモニア態窒素(TAN)を押し上げるため、量は水の数字を見ながら決めるのが確かです。
組み合わせやすい作物
水温が高いまま安定するので、暑さに向く株と組めます。空心菜やバジルは同じ温度帯で伸び、養分が濃くなってくればミニトマトも実を付けます。餌の量に対する床の広さは、FAO 2014 が葉物で40〜50g/m²、果菜で50〜80g/m²という比を挙げています。高温でとう立ちする葉物は夏に外し、涼しくなってから戻すほうがうまくいきます。
法と入手のこと
池にも川にも放流しない。1962年に養殖のために移入され、環境省と農林水産省の生態系被害防止外来種リストではその他の総合対策外来種に区分されています。南日本の暖かい水域では定着が確認されています。水産資源保護法にもとづく都道府県の内水面漁業調整規則が水産動植物の移殖を制限しており、都道府県によっては許可が要ります。種苗の経路は限られ、引き取り先は先に決めます。
解説動画: Tilapia 101 Nile Tilapia Top 5 Facts about Tilapia Mouth Brooding Cichlids, Monosex Tilapia/This Is Aquaculture
ナイル川から来た魚: 動画は、この魚がアフリカのナイル川の魚だと始めます。3000年前の古代エジプトではすでに宮殿の庭の人工池で飼われていて、第18王朝のモザイクにその様子が描かれている、と。カリフォルニアの養殖でも毎年数千トンが育てられ、重さで見るとコイに次ぐ量が世界で養殖されていると述べます。
口の中で子を守る: 次に挙げるのは、母親が卵と稚魚を口の中で守るという習性です。孵化したあとも数週間は母親の口で過ごし、外敵から隠れられるうえ、口の中の水の動きが卵に酸素を回す役目もするといいます。モザンビークやブルーなど、ティラピアと呼ばれる魚はどれも口で子を守ると付け加えます。
オスだけを作る: この魚はヒトと同じで、オスがXY、メスがXXの染色体を持ちます。動画は、卵の発生の決まった時期に高い水温をかけると、Y染色体を2本持つオス——スーパーオスができ、しかもふつうに繁殖できると説明します。このオスとXXのメスをかけ合わせると、生まれる子はすべてXYのオスになると続けます。
極端な水に耐える: 耐えられる水の幅も広いといいます。養殖にも使われるモザンビークティラピアは海水の4倍の塩分がある水でも生き、ナトロンティラピアはpHが10.5まで上がった水に暮らす——動画はこれを漂白剤に近い数字だと言い添えます。極端な環境でも生き延びられる仲間なのだとまとめます。
選ぶときに効くこと: オスのほうが大きく速く育つので、養殖ではオスばかりにそろえるのだと述べます。全体は豆知識を5つ並べる短い動画で、飼い方や水温の話は出てきません。それでも、口で子を守る繁殖のしかたと、オスだけにそろえる技術が磨かれてきたことは、この魚を選ぶときにそのまま効いてくる話です。