亜硝酸から硝酸へ
窒素のめぐり
硝化の二段目で、亜硝酸は硝酸に変わります。一段目より遅れて立ち上がるため、立ち上げの途中では亜硝酸だけが高い時期が生まれます。
何が何に変わるか
亜硝酸がさらに酸素と結びついて硝酸に変わります。担い手は亜硝酸酸化細菌で、Nitrobacter や Nitrospira が知られています。Nitrospira には一段目と二段目を1種でこなすものがいると報告されました(Daims ら 2015、Eck ら 2019 が引用)。できた硝酸が植物が吸う窒素の入口になります。
どこで起きているか
場所は一段目と同じ生物膜の中です。生物ろ材や培地の表面に、アンモニア酸化側と隣り合って住み分けます。一段目が出した亜硝酸をその場で受け取るので、二つの層が近いほど水中の亜硝酸は低く保たれます。メディアベッドでは培地そのものがこの場所を兼ね、NFT(薄膜水耕)のように面の少ない型では、別に生物ろ材を置くことになります。
速さを決めるもの
二段目のほうが低温と遊離アンモニアに弱いとされます。FAO の手引きは Nitrobacter が Nitrosomonas より低温に弱いとして、寒い時期は亜硝酸をこまめに見るよう書いています(Somerville ら 2014)。活性汚泥の研究でも、亜硝酸酸化側は高いアンモニア濃度と温度に敏感だと整理されています(Baumgartner ら 2022)。
止まるとどうなるか
止まると亜硝酸だけが水に溜まります。立ち上げの途中でアンモニアの山が引いたあとに亜硝酸の山が来るのは、この遅れのためです(Sallenave 2026)。数字では亜硝酸態窒素(NO₂-N)が跳ね、亜硝酸が跳ね上がったが入口です。硝酸態窒素のほうは魚に比較的おだやかで、窒素として150〜300mg/Lまで耐えるとされます(Eck ら 2019)。
解説動画: 初心者に伝えたいNO2の考え方【アクアリウム】【亜硝酸】【水質】/株式会社セラジャパン
無視されがちな数字: 動画は、亜硝酸(NO₂)が酸性でも弱アルカリ性でも有害だと切り出します。餌の残りや排泄物から出て、バクテリアが分けていく道の途中に現れるもので、硝酸まで分解されていればひとまず安心だが、その手前のアンモニアと亜硝酸は魚の生死に直結する。だから気にしなければならない、と置きます。
目安を三段で: 数字の目安を三段に分けて挙げます。低い値でも出ていれば水が汚れかけているという警告どまり、0.9 mg/Lを超えると水がかなり汚れていて魚に危機が迫っている、3.3 mg/Lを超えると死に直面しかねない。いちばん良いのは0で、有害な物質はどれも0が最適だから測ってほしい、と言います。
片方だけ、ではない: 初心者ほど引っかかる誤解として、「亜硝酸が出ているからアンモニアはもう無い」という言い方を挙げます。物質ひとつを化学として追えば確かに次の形へ変わりますが、水槽のほうは物質単体で動いてはいません。魚は24時間ものを出し続けるので、分解の途中の段がいくつも同時に存在すると述べます。
重なって出る: 1日目に出た分がアンモニアから硝酸へ進んでいる途中に、2日目の排泄物がまた入ってきます。だからアンモニアと亜硝酸が両方いっしょに出ることも、亜硝酸態窒素(NO₂-N)だけが上がっていることもある。示した1日目・2日目という区切りは分かりやすさのためで、化学の時間どおりではないとも断ります。
だから測り続ける: 結びは定期的な水質測定です。ろ過の部分だけを見て安心しがちだけれど、魚は呼吸も排泄も24時間続けていて水のほうは常に変わっているため、ろ過の側にもある程度の余力が要ると述べます。二段目が遅れて亜硝酸が跳ね上がった状態は、こまめに測っていないと気づけない側の数字です。