アンモニア化

窒素のめぐり

糞と食べ残しに残った窒素は、分解されてアンモニアになります。溶けている窒素より遅れて出てくるので、固形物をいつ取り除くかで水の値が変わります。

何が何に変わるか

糞と食べ残しの中の有機態の窒素を、従属栄養の細菌がアミノ酸まで崩し、アンモニアとして水へ戻します(Eck ら 2019)。えらから直に溶ける窒素と違い、分解という一手間を挟むぶん遅れて効きます。出てきたアンモニアは総アンモニア態窒素(TAN)に加わり、そこからアンモニアから亜硝酸へに渡ります。

どこで起きているか

起きる場所は固形物が留まっているところです。沈殿槽の底、メディアベッドの培地の隙間、生物ろ材や配管に付いた汚泥の中で進みます。FAO の手引きは、固形物を長く置くほど無機化が進むいっぽう、水の流れを塞ぎ、酸素を奪って無酸素の層をつくると書いています(Somerville ら 2014)。

速さを決めるもの

速さを決めるのは水温・酸素・粒の細かさ・置いておく時間です。餌1kgあたり固形物が0.25〜0.30kg出るとされ(Sallenave 2026)、粒が細かいほど表面積が増えて分解は早まります。分解そのものが酸素を使うので、進めるほど分解が奪う酸素の負担も重なります。曝気しながら別の容器で分解させるやり方は、この二つを切り離すためのものです。

止まるとどうなるか

分解を待たずに固形物を抜けば、そこに含まれた窒素は系の外へ出ます。汚泥は餌由来の養分の最大40%を抱えるという見積もりがあり(Yogev ら 2016、Eck ら 2019 が引用)、抜きすぎれば植物の側が先に痩せます。逆に溜めれば培地の底に黒い泥がたまるや卵の腐ったにおいがするの側へ倒れます。

解説動画: Charlie Shultz on the Importance of Remineralization of Solid Waste in Aquaponics/FarmHub

汚泥は資源だと言う: 動画は、アクアポニックスでは溶けた養分を植物が引き受けるけれど、出ていく固形の汚れの行き先が残る、と切り出します。話し手は廃水の処理からこの分野に入った人で、施設に入ったらまず配管をたどり、流れと循環の形をつかめば、どの系でも管理はできると述べます。今回は建設中の施設を回りながら、固形物の扱いを設計の側から見せていきます。

溜めた先で起きる: 動画は固形物を、沈む粒と細かく浮いたままの粒に分けて考えろと言います。どちらも扱わずに置けば分解されてアンモニアが増え、従属栄養の菌が増えて酸素が尽きた場所ができる。細かい粒も水の中を漂ううちに固まって沈むので、扱わなければ栽培槽の底にたまっていきます。この分野で行き詰まった例の多くは固形物の扱いを誤っている、と付け加えます。

二段で取り除く: 紹介された施設では、魚の槽の後にまず放射状の流れをつくる沈殿装置を置き、沈む粒の大半をここで抜きます。通り抜けた細かい粒はビーズ状のろ材で受け、逆洗のたびにもう一度まとめて抜ける並びにしてある。その先の生物ろ材には硝化を担う菌が住むので、澄んだ水を送ることと、しっかり空気を送ることの両方が要ると説明します。

汚泥をほどく: 本題は、抜いた汚泥を捨てずに曝気した別の容器に入れるやり方です。好気の微生物が、固形物に抱え込まれたままの養分をほどき、溶けた形にしてから同じ系へ戻します。逆洗のたびに汚泥ごと出す運転では水量の1〜2%を毎日入れ替えることになる、と数字を挙げて比べ、戻す側なら足す水はごくわずかで済むと述べます。

畑へ回す道もある: 戻す先は系の中だけではありません。動画は、果樹園や堆肥の山、菜園へまく道もあると述べます。ゆっくり効く肥料として働き、有機物を足す——だから廃棄物ではなく資源だ、魚に限らず家畜の糞でも同じことができる、と結びます。この項目にとっては、分解が奪う酸素と天秤にかけながら、固形物をどこで分解させるかを決める話になります。