脱窒

窒素のめぐり

酸素の無いところで、硝酸は窒素ガスに変わって水から抜けます。硝酸を減らす道であると同時に、汚泥の底で意図せず進んでいることもあります。

何が何に変わるか

酸素の無いところで、細菌が硝酸を呼吸の相手に使います。硝酸は亜硝酸、一酸化窒素、一酸化二窒素と姿を変え、最後は窒素ガスになって水から抜けます(Eck ら 2019)。担い手は Pseudomonas などの通性の従属栄養菌で、反応には炭素源となる有機物が要ります。硝酸が減るぶん、アルカリ度(KH)は戻る側に働きます。

どこで起きているか

起きるのは酸素が届かない場所——沈殿槽に溜まった汚泥の底、培地の奥、DWC(浮き床の水耕)で水が淀んだ隅、ろ材の内側です。溶存酸素が0.3mg/Lを下回ると、硝化と脱窒を同じ場所でこなす菌もいると報告されています(Eck ら 2019)。専用の槽を置いて意図的に進める設計もあります。

速さを決めるもの

速さを決めるのは酸素の低さと炭素源の量、それに水温です。汚泥をそのまま置く沈殿槽では、炭素の多い有機物が餌になって硝酸が減っていきます(Palm ら 2019)。アンモニアと亜硝酸から直に窒素ガスを作るアナモックスという道もありますが、実用の装置はまだ試作の段階です(Espinal と Matulić 2019)。

止まるとどうなるか

脱窒が働かなければ硝酸は溜まる一方で、系から出ていく窒素の出口がひとつ閉じます。逆に意図せず進むと植物の分の硝酸が消え、pHが下がらなくなります——pHが高いまま動かないは無酸素の場所ができている合図にもなります(Sallenave 2026)。途中の一酸化二窒素は100年で見て二酸化炭素の298倍の温室効果を持ちます(Joyce ら 2019)。

解説動画: 水替えを激減させる脱窒濾過について~必要事項と運用ノウハウ~/アクア大佐

硝酸で呼吸する菌: 動画は脱窒菌を、酸素があればそれを使い、無くなれば硝酸の側を使う菌だと説明します。その性質を借りて、水槽の邪魔者である硝酸態窒素(NO₃-N)をなくすのが脱窒ろ過だと述べます。海水の水槽では標準的に使われるのに淡水では長く眉唾物あつかいで、安定させられれば効きは強い、と前置きします。

無酸素の場所づくり: いちばん難しいのは菌の住む場所だと動画は言います。水が必ずそこを通り、しかも酸素が薄くなる場所——流れが鈍って詰まりぎみの奥がそれにあたる。外部ろ過にサブフィルターを足して生物ろ材を詰める手もあるが、詰まりやすく手入れの手間が増えるので、上部ろ過の落水パイプにストレーナーを押し込むだけ、という自作を見せます。

菌の餌はみりん: 菌には餌が要り、動画は本みりんを選びます(みりん風の調味料では効かない)。500Lの水槽で20mL、それでも多かったので減らした、60cm水槽ならごく少量から始めて増やしながら様子を見る、と量の決め方を話します。上から一気に入れると魚がアルコール中毒で死ぬので、菌がいると思われる下の層へ静かに入れると釘を刺します。

入れた直後の変化: 投入から3時間ほどでpHが0.2〜0.3下がり、曝気していても酸素はあっという間に減ると動画は言います。下がり方はもとの汚れ具合しだいで、1時間で1も落ちるなら別の原因——死んだ魚などが大量のアンモニアを出している合図なので、そのときは底の水を吸い出してから水を替えるようにと注意します。

においで見分ける: たまった泥は、かいだときに落ち葉のような香ばしいにおいなら脱窒の住処として当たりだと動画は述べます。pHが低いと臭くなるので、pHを高めに保つことも大切だと結びます。水換えを減らす技として語られますが、要るものは菌の餌と酸素の届かない場所の二つだ、というところは変わりません。