こぐま座

一年中見える星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

こぐま座は、北極星を柄の先にした小さなひしゃくで、一年中北の空に見える星座です。

形のたどりかた

おおぐま座の北斗七星から入ります。枡の先端にあたる二星を結び、その間隔をおよそ五倍に延ばした先にあるのが北極星です。そこから南へ、柄にあたる三つの星がゆるく曲がりながら続き、2.1等のβ星コカブと3.0等のγ星フェルカドが枡の口を作ります。柄の途中の星が4等台なので、街の空では北極星とコカブの二点しか残らず、ひしゃくの形にはなりません。

目じるしになる星

北極星が約2.0等、コカブが2.08等で、この二つはほぼ同じ明るさです。北極星がいちばん明るい星だという言い方は誤りで、全天では50番目前後にあたります(北極星はいちばん明るい星)。コカブとフェルカドは天の北極を守る二星として古くから対で扱われてきました。北極星の位置に迷ったときはこの二つから回り込むと、暗い柄をたどらずに済みます。

見ごろの時期と南中高度

日本全土で一年中沈まないので、見ごろは季節ではなく時刻と向きで決まります。北極星の高度は観測地の緯度とほぼ等しく、那覇で約26度、東京で約36度、札幌で約43度です。天の北極をはさんでカシオペヤ座と北斗七星が反対側にあるため、片方が低いときはもう片方が高く上がります。向きが季節で回るので、形の記憶だけで探すと取り違えます。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

この星座は、空の暗さを測る物差しとして使えます。枡と柄をつくる七星は2.0等から5.0等まで段階的に並ぶので、何個まで数えられるかが肉眼の限界等級の目安になります。二つしか見えなければ市街地の空、七つ全部が見えるなら5等星まで届く空、という読み方です。北の空は光害が集まりやすく、低緯度ほど高度も下がります。

星座の中の見どころ

北極星は三重星です。18秒角離れたところに9等の伴星がありますが、主星との明るさの差が大きく、双眼鏡では分かれません。もう一つの見どころは位置そのもので、北極星は天の北極から0.6度ほどずれています。一日かけて直径1.3度ほどの小さな円を描いており、これは満月の見かけの直径のおよそ二個半にあたります。日周運動の写真では、この星も短い弧になります。

名前と物語

由来

小熊の正体には、伝わる話が2つあります。ひとつはおおぐま座と対になる、カリストーの息子アルカスだという説です。もうひとつは、クレタ島で幼いゼウスをかくまい育てたニンフ、キュノスラーだとする説で、古代の資料『パイノメナ』はこちらを伝えています。どちらの話でも、育てた恩や親子の縁が、そのまま天に上げられる理由になっています。

和名と人が使ってきたこと

日本では北極星を、そらの中心にあることから子の星や北の一つ星と呼んできました。仏教の影響が強い地域では、北の空を守る妙見菩薩に見立てて妙見星とも呼ばれ、信仰の対象にもなりました。動かないように見えることから、航海や旅の方角を知る頼りとして昔から使われてきた星です。呼び名の多さそのものが、暮らしの中でどれだけ頼りにされてきたかを物語っています。

正体と距離

北極星の脇を固めるコカブとフェルカドも、たがいに無関係な星です。コカブは約130光年、フェルカドは約480光年ほど先にあり、3倍以上の開きがあります。2つ合わせて天の北極の守り手と呼ばれてきましたが、実際には奥行きの違う2つの星が並んで見えているだけです。見かけの近さと実際の距離が一致しないのは、こぐま座でもほかの星座と変わりません。

変わるもの

北極星は、いつの時代も同じ星だったわけではありません。歳差運動で天の北極が指す方向は星々の間を巡っており、古代エジプトのころはりゅう座のトゥバンが、今のポラリスの役目を果たしていたとされます。ポラリスが天の北極にもっとも近づくのはこれから先の2100年ごろで、そこから先はまた少しずつ離れていきます。