きりん座

一年中見える星座

見え方: 双眼鏡で見える

きりん座は、北の空にひらいた星のない領域で、4等より明るい星を一つも持ちません。

形のたどりかた

形からではなく、周りの目じるしで囲みます。北極星とカシオペヤ座のW字、ぎょしゃ座のカペラを結ぶと、内側に明るい星のない広い空白が残ります。そこがきりん座です。いちばん明るいβ星でも4.0等で、線で結べる形が最初から用意されていません。空白を目で確かめてから双眼鏡に持ちかえ、視野を左右へ振って星を拾うのがこの星座に入る順序です。星座の広さは756平方度あります。

目じるしになる星

4.0等のβ星と4.3等のα星がいちばん明るい二つですが、どちらも目じるしには使えません。代わりになるのがカペラと北極星で、線のなかほどへ双眼鏡を向けると、星座の中ほどに入ります。目につく星が視野に入らないので、どこを見ているか分からなくなります。星座早見盤で範囲を先に確かめておくと、迷わずに済みます。

見ごろの時期と南中高度

周極星の集まりなので一年じゅう北の空にありますが、高く上がるのは2月中旬の午後8時ごろです。中ほどの赤緯はおよそプラス70度で、東京では高度56度前後まで来て、真南ではなく天頂の北側を通ります。高いところを通る時期を選ぶ意味は大きく、4等台の星が残ります。夏の宵は北の低い空へ回り、地平線近くの明るさに同じ星が沈んで消えます。低い空での減り方は大気減光と同じ理屈です。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

この星座の星が見えるかどうかが、そのまま空の暗さの試しになります。市街地では4等台が消え、双眼鏡の視野にも何も残りません。4等より暗い星まで拾える空なら、星の並び探しが成り立ちます(肉眼の限界等級)。緯度では南の端でも赤緯プラス53度あり、北緯37度より北なら一年じゅう沈みません。南西諸島では、下を回るとき南の端が地平線に入ります。

星座の中の見どころ

主役はケンブルのカスケードです。5等から9等の星が20個ほど、2.5度にわたって一列に流れる並びで、星団ではなく、たまたま同じ向きに重なった星の列です。低倍率の双眼鏡なら視野に全体が入りますが、倍率を上げるほど流れとしての形が消えます。列の端には散開星団NGC1502が付きます。名づけたのはカナダのルシアン・ケンブルで、天文誌の紹介から広まりました。実視界の広さが効く対象です。

名前と物語

由来

神話を持たない、17世紀にできた星座です。1612年ごろ、オランダの天文学者ペトルス・プランシウスが、北の空に残っていた星の少ない領域にこの星座をあてたとされます。名前はギリシャ語で「らくだ」と「ひょう」をあわせた語に由来し、体つきをらくだ、模様をひょうになぞらえてキリンを呼んだ古い言い方が、そのまま星座名に採用されました。

正体と距離

α星は、秒速数十キロという速さで宇宙空間を突き進む暴走星です。周囲の希薄なガスに猛スピードで突っ込むため、進行方向の前方に衝撃波の弧ができており、赤外線の観測でその弓なりの構造が確かめられています。距離には諸説ありますが、目安としておよそ4000光年とされ、肉眼に映るのは4等台の点だけです。

変わるもの

きりん座の星々は軒並み天の北極に近く、歳差運動で北極の指す方向がこの先動いても、しばらくは周極星であり続けると考えられます。それでも長い時間の単位では、天の北極が移る先によっては、この星座も地平線の下へ沈む時代がいずれ訪れるかもしれません。星の少なさだけでなく、見える時代の長さでも先が読みにくい星座です。