おおぐま座

一年中見える星座

見え方: 肉眼で見える

おおぐま座は、北斗七星を腰から尾に含み、西へ大きく広がる全天で三番目に広い星座です。

形のたどりかた

まず北斗七星を見つけます。これは星座の全体ではなく、熊の腰から尾にあたる部分です。枡の口をつくる二星の西へこぶし三つぶんほど送ると、3等台の星が二つずつ対になって並び、これが熊の前足と後ろ足にあたります(星座は星を結んだ線の形)。七星を胴の後ろ半分と決め、そこから西へ体を継ぎ足す順に見ていくと、1280平方度という広がりが実感できます。

目じるしになる星

北斗七星は俗称ではなく、日本で古くから使われてきた和名です。枡の口のα星ドゥーベが1.8等、柄の先のη星アルカイドが1.9等で、七つのうち六つが2等星前後にそろいます。δ星だけが3.3等と暗く、ここが抜けて六星に見えることがあります。ドゥーベとβ星メラクを結んで五倍延ばすとこぐま座の北極星に届き、そのまま方角の基準として使えます。

見ごろの時期と南中高度

一年中見えますが、高さは季節と時刻で大きく変わります。東京での北斗七星は、天の北極の上を通るとき高度60度台から70度台、下を通るときは0度から10度未満です。春から初夏の宵が前者にあたり、形を確かめるにはいちばん楽な時期になります。柄の曲がりをそのまま南へ延ばすとうしかい座のアルクトゥールスに届き、春の宵の道しるべになります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

緯度で結果が割れる星座です。柄の先のアルカイドは赤緯プラス49度台なので、北緯40.7度より北では一年中沈みません。札幌(北緯43度)では下を通るときも高度2度ほど残り、計算のうえでは七星がそろったままです。東京では同じ星が地平線の5度下まで入り、秋の宵には柄の先が欠けます。ただし高度2度は建物と大気減光に埋もれる高さで、計算と見え方は別ものです。

星座の中の見どころ

ミザールとアルコルは12分角離れた2.2等と4.0等の組で、空が暗ければ肉眼で二つに分かれます。分けられるかどうかが、古くから視力の試しに使われてきました。銀河ではボーデの銀河と葉巻銀河が0.6度しか離れておらず同じ視野に入りますが、双眼鏡ではどちらも輪郭のぼやけたしみで、渦の腕は見えません。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、アルカディアの王女カリストーと伝わります。狩りの女神アルテミスに仕える身でありながらゼウスに愛されて子を身ごもったため、嫉妬したヘラの手で熊に姿を変えられたとされます。長じた息子アルカスが狩りの最中に熊となった母を射ようとしたとき、ゼウスが2人をまとめて天に上げ、大熊と小熊の星座にしたという話が伝わっています。

和名と人が使ってきたこと

日本では古くから七つ星や柄杓星と呼ばれ、漁村では舵の形に見立てて舵星とも呼びました。柄の先の星は揺光と呼ばれ、その指す方角で夜の時刻を知る目安にされたと伝わります。枡の先の2星を結んで延ばすとこぐま座の北極星に届くという使い方も、古くから知られていました。夜の時計であり方位磁針でもある、実用の星座として扱われてきました。

正体と距離

北斗七星は、7つがひとつの家族ではありません。柄の先のアルカイドと枡のドゥーベを除く5つの星は、同じ方向へそろって動くおおぐま座運動星団という本当の仲間です。ドゥーベとアルカイドはこの集団に属さない別々の星で、たまたま同じ位置を通りかかって、ひしゃくの形を両端から支えているにすぎません。

変わるもの

5つの仲間が同じ向きへ動き、はしの2つが別の向きへ動くため、ひしゃくの形は永遠ではありません。10万年前の柄はもっとしっかり曲がっており、10万年後には枡がゆがんで柄がまっすぐに近づくと計算されています。今の北斗七星は、長い時間のほんの一瞬の並びです。教科書に載る形の変化の図は、こうした固有運動の記録をもとに描かれています。