攻略 | オトモネイチャー

竿とリールの塩抜き、仕掛けの片づけ、次回への見直し。

帰ってからの手入れは、塩を落とす・乾かす・次回の分を見直すの順に進めます。竿とリールの水洗いを先に済ませ、乾かしている間に仕掛けとゴミを片づければ、1回で終わります。塩が残ると金属は錆びます。神奈川大学のチームが丹沢大山と横浜に金属の試料を置き、人工の酸性の霧も当てて調べた試験では、酸性の条件のもとで塩化物イオンの濃度が高いほど亜鉛めっき鋼の腐食が進み、ステンレス鋼は中性の塩化物の溶液でも腐食しました(南齋ほか、2013)。釣り道具を調べた研究ではありませんが、ステンレスの部品も塩に強くはないという裏づけになります。

スピニングリールもベイトリールも、上から水をかけて流し、細かい可動部分まで水を当てて塩を落とします。洗面器や風呂に水を張って沈める洗い方は、内部に水が入るので避けます(釣具のイシグロ)。スピニングリールで塩がたまりやすいのは、ラインローラー・ベールの付け根・ドラグの周りです(釣神様 TSURIGAMISAMA)。水をかける前にドラグの調整のつまみを強く締め、ハンドルの緩みも確かめます。締めずに洗うとドラグの中に水が入り、効きが落ちます。拭いて乾かしたら、ドラグは緩めてしまいます。スプールの糸にも塩が残るので、器に水を張って糸の部分だけを30分から40分浸け、塩を抜きます。浸けたままにすると内部が腐食するため、糸をめったに巻き替えない人には勧められていません(釣神様)。

スピニングリール写真: Jonathan Ewen & Stephen Ewen / CC BY 3.0
ベイトリール写真: George Chernilevsky / CC BY 4.0
ドラグの調整
プルスケール(ばね秤)
ドラグの調整図: オトモシリーズ

水気を拭き取ったら、動く所に油を少しずつ足します。スプールとドラグのワッシャーを外して軸の古い油を落とし、軸に数滴、ベールの付け根のねじの裏に1滴、ラインローラーはねじを外して中のベアリングに1滴です。ラインローラーだけは、外から垂らしても油がベアリングに届きません(Mystery Tackle Box)。細かい隙間は歯ブラシでかき出し、余った油は最後に布で拭き取ります(Sierra)。内部のギアまで外す手入れは勧められていません。歯の向きを変えて組み直したリールのギアが摩耗し、交換になった例があります(Mystery Tackle Box)。研磨剤入りの万能スプレーも、ベアリングを痛めるのでリールには使いません(釣神様)。

竿は、固く絞った濡れタオルで全体を拭き、乾いたタオルで水気を取ります。継ぎ目の金属部分・ガイド・リールシートのねじ山は塩がたまるので、重点的に洗います(釣具のイシグロ)。磯竿(万能竿)のような振出式を水洗いしたときは、全部伸ばして尻栓を外し、縦か斜めに立てて日陰で3日から4日乾かします。濡れたまま、または湿ったまましまうと、表面のクリア塗装が水ぶくれのように浮き、やがて割れて下のカーボンが出ます(釣神様)。竿尻に塩が固まると、尻栓そのものが抜けなくなります。タモ網(ランディングネット)の柄には固着を防ぐ加工がしてあり、潤滑剤を厚く塗ると滑りすぎて伸び切り、かえって固着します(釣神様)。

磯竿(万能竿)写真: David Falconer / Public domain

仕掛けは、次も使えるものと捨てるものに分けます。曲がったハリ・切れたナイロンライン・使い終わった市販の仕掛けは、釣り場に残さず持ち帰り、家庭のゴミに出します。遊漁から出る海のゴミを70件の研究からまとめたレビューでは、プラスチックと金属が最も多く、岸近くの海域と岩礁がゴミの出どころと溜まり場の両方になっていました(Watsonほか、2022)。放置された仕掛けに魚が掛かるゴーストフィッシングや、生き物が絡まる被害も報告されています。糸は紫外線と塩で1回の釣行ごとに傷むので、長く使っても5回ほどで巻き替えます(釣神様)。

ナイロンライン写真: Judgefloro / CC0

ライフジャケットも塩をかぶっています。ぬるい石けん水で手洗いし、真水ですすいでプラスチックのハンガーに吊って干します。膨張式は膨張装置を水に浸けず、ドライクリーニング・塩素系漂白剤・直接の熱を避けます。浮力材が発泡材のものは、水に沈めて洗えます。完全に乾いてから、直射日光の当たらない風通しのよい場所にしまいます(全米安全ボート協議会)。

ライフジャケット
ライフジャケット写真: Martin Talbot from Moscow, Russia / CC BY 2.0

乾くのを待つ間に、減った仕掛けと、錆や固着が出た部品を書き留めます。次に出かける前の買い足しが1回で済みます。多い失敗は、湿ったまま袋へ戻すこと、ドラグを締めたまま保管すること、スプールの糸に付いた塩を落とさないことです。手入れを済ませた竿は継ぎ目が軽く回り、リールはハンドルが引っかからずに回ります。

出典

  1. 動画 釣神様 TSURIGAMISAMA 【釣具メンテナンス】195円の魔法のスプレーを使った竿にダメージを与えない洗わない釣具のお手入れ方法!
  2. 動画 釣具のイシグロ 釣りを楽しんだあとは・・ロッドとリールの簡易メンテナンス方法を解説♪
  3. 動画・英語 Mystery Tackle Box How To Clean A Spinning Reel | Fishing Gear Care
  4. 動画・英語 Sierra Rod & Reel Maintenance - How to Maintain a Fishing Rod
  5. 論文 南齋勉・大村公一・山岸恒介・井川学(神奈川大学工学部)(2013) 横浜と丹沢大山における亜鉛めっき鋼とステンレス鋼の腐食
  6. 論文・英語 Watson AR, Blount C, McPhee DP, Zhang D, Smith MPL, Reeds K, Williamson JE(2022) Source, fate and management of recreational fishing marine debris
  7. 公的機関・英語 全米安全ボート協議会・バージニア州野生生物資源局(米国)(2021) Cleaning and Storing Life Jackets