亜鉛

ビタミン・ミネラル

亜鉛は、たんぱく質合成を支える微量元素

役割

体内に約2,000mg存在し、300種類以上の酵素をつくるミネラルです。たんぱく質の合成や細胞分裂、味覚や免疫の維持を支え、不足すると皮膚炎や味覚障害、成長の遅れとして現れます。体内の亜鉛は汗や皮膚の剥離、精液や月経の分泌物への流出でも失われ、日本人の食事摂取基準(2025年版)は、これらの経路から日々失う分を補う必要があるとしています。

摂り方

食事では牡蠣、赤身肉、レバー、大豆製品が代表的です。食事摂取基準(2025年版)によると、日本人成人の摂取量は平均で男性9.4mg、女性7.7mgで、推奨量に届いていない人が目立ちます。サプリで補う場合は食事と合わせて1日15mg程度を上限の目安にし、米国の栄養学者Lukaskiの総説(2000年)が指摘するように、まず食事量が減る減量期に注意して使います。

注意点

長期の過剰摂取は銅の吸収を妨げて銅欠乏を招き、貧血や神経症状につながるおそれがあります。食事摂取基準(2025年版)は、極端な偏食で亜鉛を1日約70mgを長く摂り続けた体重42kgの女性が、銅欠乏性ミエロパチーになった例を挙げています。耐容上限量は成人で1日40mg前後です。空腹時に摂ると吐き気が出やすく、抗菌薬や利尿薬を使っている方は飲み合わせを医療者に確認してください。

出典

  1. 公的機関 厚生労働省(2025) 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書「1-7 ミネラル」
  2. 論文・英語 Lukaski HC(2000) Magnesium, zinc, and chromium nutriture and physical activity

解説動画: 亜鉛の働きと、摂りすぎない飲み方/高須幹弥(高須クリニック)

まず摂りすぎに注意: 医師が亜鉛について解説する回。筋トレや男性機能のためにやたらと量を摂ろうとする人がいるが、亜鉛の過剰摂取は中毒を起こす。胃が痛む、気持ち悪くなるほか、銅の吸収と競合して銅が相対的に不足し貧血になることもある。本人は食事とサプリを合わせて1日30mgを超えないようにしており、50mg以上を毎日続けると数ヶ月から数年かけて中毒症状が出ると説明している。

推奨量と不足しやすい人: 日本の推奨量は成人男性で約11mg、女性で8mg。ところがこの推奨量すら食事から摂れていない人が多く、極端なダイエットをしている人、お菓子やカップ麺中心の人は不足しがちである。不足すると肌が荒れる、髪が薄くなる、爪がボロボロになるといった症状が出る。多く含むのは牡蠣、牛豚鶏の肉とレバー、うなぎ、かに、チーズ、牛乳、いわしやさんまなどの魚。すでに食事で足りている人はサプリで足す必要はない。

体の中での働き: 亜鉛は細胞分裂に必要なミネラルで、肌のターンオーバー、爪の伸び、髪のケラチン合成を支える。ほかにテストステロンの合成と分泌を促す酵素に不可欠で、男性では精子の形成にも関わる。成長ホルモンの分泌、免疫細胞の活性化、抗酸化酵素SODの合成によるDNA損傷の抑制、傷の治りやコラーゲンの合成にも関与する。セロトニンやドーパミンなどの合成にも必要なため不足するとメンタルが不安定になり、味を感じる細胞が働かず味覚障害も起きる。

飲むタイミング: 本人はマルチビタミンミネラルから1日15mgを摂り、昼食後と夕食後の2回に分けている。分けるのは一度に大量に摂ると吸収が落ちるためで、血中濃度をなるべく保つ狙いもある。成長ホルモンの分泌を促す働きがあるので、寝る前に血中濃度を高めておくのも有効。ただし空腹時に飲むと胃が荒れるので、食後に摂るようにしている。

一緒に摂るもの・避けるもの: 同時に摂るとよいのはビタミンB群、ビタミンC、タンパク質で、代謝やテストステロンの合成という点で方向性が同じ。逆に鉄・銅・カルシウムは吸収が競合するほか、コーヒーのポリフェノール、緑茶や紅茶のタンニン、アルコール、玄米や豆類のフィチン酸も吸収を妨げる。厳密には1〜2時間ずらしたいが現実には難しいので、頭の片隅に置く程度でよいという。サプリの形では吸収が悪く胃に障る酸化亜鉛は避け、グルコン酸亜鉛や酵母亜鉛を選ぶのが無難とする。