ビタミンB群
ビタミン・ミネラル
ビタミンB群は、エネルギーを回す8種の裏方
役割
B1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種をまとめた呼び名で、糖質・脂質・たんぱく質をエネルギーに変える反応の補酵素として働きます。Woolfらの総説(2006年)は、B1・B2・B6をエネルギーを作る経路の要、葉酸とB12を赤血球など新しい細胞の合成に要るものと整理しています。Dr Mikeは、B2とナイアシン由来の補酵素が運ぶ水素がATPを生むと説明します。
摂り方
土台は豚肉、レバー、卵、納豆、玄米などの食事です。水溶性で余りは尿に出るため、毎日の食事で切らさないことが基本です。同じ総説は、運動を続けるとB2とB6の必要量が増えうる一方、葉酸とB12は資料が不足とし、エネルギー摂取を絞る選手や食品群を除く選手にはマルチビタミン・ミネラルのサプリを検討するよう勧めています。
注意点
水溶性でも、B6はサプリでの高い摂取で主に感覚性の末梢神経障害が起こりうると、20本の論文を調べた系統的レビュー(Muhamadら、2023年)は述べます。ナイアシンは、14本のレビューを見直した報告(Youngら、2025年)が、顔のほてりや胃腸の不調、肝機能の異常などを挙げ、量が多いほど起こりやすいとしています。菜食中心の方はB12が不足しやすいので医療者に相談してください。
出典
- 論文・英語 Woolf K, Manore MM(2006) B-vitamins and exercise: does exercise alter requirements?
- 論文・英語 Muhamad R ほか(2023) The Role of Vitamin B6 in Peripheral Neuropathy: A Systematic Review
- 論文・英語 Young SL ほか(2025) The adverse effects of oral niacin/nicotinamide - an overview of reviews
- 動画・英語 Dr Matt & Dr Mike B Vitamins | B1, B2, B3, B5, B6, B7, B9, B12
解説動画: ビタミンB12の摂り方と、吸収に胃酸が要る理由/栄養チャンネル Nobunaga
概要: ビタミンB群のなかでも特に重要だとしてB12を扱う回。正式名はコバラミンで、構造の中心にコバルトを含む水溶性のB群である。欠乏すると赤血球が大きくなりすぎて毛細血管を通れず、末梢まで酸素が届かない巨赤芽球性貧血が起きる。葉酸と組みで働き、脳や神経の働きを正常に保つ役割もある。高タンパク食の人は代謝で使う量が増える点にも触れている。
多く含む食品: B12はもともと微生物が作るもので、主に動物性食品に含まれる。しじみ・赤貝・あさりなど貝類が特に濃く、牛や鶏のレバー、煮干し・さんま・いわしなどの魚、いくらや筋子といった魚卵にも多い。レバーは月に2〜3回は食べたいとしている。穀類・いも・野菜・果物にはほとんど入っていない。
菜食と海苔をめぐる話: 動物性を一切摂らない食事を続けると欠乏しやすい。海苔で足りるとする研究もあるが、血清の検査値では非活性の類似体までB12として数えられてしまうので当てにならないと批判する。植物性食品のB12は非活性の類似体で、むしろ活性型の代謝を邪魔するという報告もある。信頼できるのは尿中のメチルマロン酸を見る方法。必要量がごく少ないぶん欠乏の自覚症状が出るまでは3〜5年かかる点にも注意が要る。
吸収には胃の環境が要る: 食べれば体に届くわけではなく、消化管の働きが要になる。まず胃酸とペプシンでタンパク質に包まれたB12を切り離し、唾液腺と胃から出るハプトコリンに包まれて十二指腸へ運ばれ、そこで胃から出た内因子に包み直され、小腸の下部にあたる回腸で吸収される。したがって胃酸が出ない人、消化酵素が足りない人、タンパク質が不足している人は吸収できない。ピロリ菌、胃薬、精製された糖、冷たい飲み物、強いストレスは胃酸を抑えるので要注意で、食前に酢や生姜、レモン水などで胃酸を促すとよい。
腸内細菌任せにはできない: 大腸の腸内細菌はB12を合成できるが、吸収されるのはそれより手前の回腸なので、作られても逆戻りせず排泄される。腸で作られるから大丈夫という理屈は成り立たない。血液検査では赤血球の大きさを示すMCVが手がかりで、90を超えていればB12か葉酸の不足を疑う。動物性食品は摂れているのにMCVが高いなら、胃酸不足で吸収できていない可能性がある。