マグネシウム

ビタミン・ミネラル

マグネシウムは、筋肉の収縮と弛緩を支えるミネラル

役割

成人の体内に約25gあり、300種類以上の酵素の働きにかかわるミネラルです。5〜6割は骨や歯にあり、残りは筋肉や脳・神経に分布して、筋肉の収縮や神経の情報伝達を支えます。選手向けの総説(Dominguezら、2025年)は、健康な成人の必要量を1日300〜400mgとし、選手は座って過ごす人より多い可能性があるとしています。

摂り方

食事では海藻、ナッツ、大豆製品、玄米など植物性の食品に多く含まれます。e-ヘルスネットによると、成人の推奨量は1日で男性330〜380mg、女性280〜290mgです。運動する15人のクロスオーバー試験(Bomarら、2025年)では、塩化マグネシウム300mgを1日2回・9日間摂るとプラセボより最大酸素摂取量とスプリント出力が下がり、著者らは低マグネシウム血症でない運動者は補うべきでないと結論しています。

注意点

サプリや薬で大量に摂ると、酸化マグネシウムなどで腹痛を伴う下痢が起こりやすく、腎機能が低下している方は排泄できず中毒のおそれがあるため、自己判断で摂らないでください。こむら返りが週2回以上ある50〜85歳121人の試験(Kuusipaloら、2026年)では、4週間のマグネシウムはプラセボと差がなく、圧迫ストッキングでは回数が減りました。抗菌薬や利尿薬を使っている方は医療者に確認してください。

出典

  1. 公的機関 厚生労働省 e-ヘルスネット マグネシウム(生活習慣病などの情報 e-ヘルスネット)
  2. 公的機関 厚生労働省 eJIM マグネシウム[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 医療者](米国 NIH ダイエタリーサプリメント室のファクトシートの翻訳)
  3. 論文・英語 Dominguez LJ ほか(2025) The Importance of Vitamin D and Magnesium in Athletes
  4. 論文・英語 Bomar MC ほか(2025) Short-Term Magnesium Supplementation Has Modest Detrimental Effects on Cycle Ergometer Exercise Performance and Skeletal Muscle Mitochondria and Negligible Effects on the Gut Microbiota: A Randomized Crossover Clinical Trial
  5. 論文・英語 Kuusipalo A ほか(2026) Secondary prevention of leg cramps using compression stockings or magnesium supplements: a three-arm randomized clinical trial

解説動画: マグネシウムの7つの働きと不足したときのリスク/薬剤師けいのお薬相談室

概要: 薬剤師がマグネシウムの役割をまとめた回。骨や歯をつくるミネラルで、体内には約25gあり、その半分以上が骨の中に存在する。体内では作れないため食品から摂る必要があり、不足すると吐き気・震え・脱力感・眠気・食欲不振といった低マグネシウム血症の症状が出ることがある。

骨はカルシウムだけでは作れない: マグネシウムは骨芽細胞に働きかけて骨に入るカルシウムの量を調節しており、骨密度を保つ役割を担っている。つまりカルシウムばかり摂っても、マグネシウムが足りなければ正常な骨は作れない。不足が続けば骨量が減り、骨折につながる骨粗鬆症のリスクが高くなるため、高齢者は特に注意が要る。

血糖・血圧・心臓への働き: 摂取量が多い人は2型糖尿病の発症リスクが10〜35%低いとされ、1日100mgの上乗せでも8〜12%下がると紹介する。体内のカルシウム濃度のバランスを保って血管の収縮と拡張を調節するため、天然のカルシウム拮抗薬とも呼ばれ高血圧の予防に役立つ。血圧が抑えられれば動脈硬化の進行も遅くなり、狭心症や心筋梗塞の予防にもつながる。血小板が固まるのを抑えて血栓をできにくくする働きもある。

神経とエネルギー代謝: 神経の興奮を抑えて精神状態を安定させる働きがあり、摂取量の多い人は少ない人より抑うつ状態が37%少ないというデータを挙げる。神経の伝達にも関わるため、不足すると神経が過敏になったり、意図せず筋肉が震えたりしびれたりする。さらに酵素を活性化することで食事から摂った栄養をエネルギーに変える代謝を助ける。

摂り方と覚え方: 推奨量は年齢と性別で異なる。多く含むのは野菜・豆類・海藻・魚介・種実・果物で、「そばのひ孫と孫は優しい」という語呂で含有食材をまとめて覚える方法を紹介している。食べる以外では、硫酸マグネシウムを溶かすエプソムソルトという入浴剤があり、お湯に対して0.1%の濃度が実感しやすいとされる。皮膚から入れる場合は肌のバリア機能、むくみ、筋肉のこりや疲労、睡眠の質などへの効果が期待できるという。