鉄
ビタミン・ミネラル
鉄は、酸素を全身へ運ぶ血の材料
役割
体内の鉄は成人で3〜4gあり、約70%は赤血球のヘモグロビンとして酸素を運びます。不足すると貧血や運動機能・認知機能の低下を招くと食事摂取基準(2025年版)は書きます。2026年のメタ分析は、女性アスリートの約15〜35%で鉄欠乏が報告されているとします。月経のある女性は、経血で失う分が必要量に加わります。体には鉄を積極的に捨てる経路がなく、吸収の量で体内の量を保ちます。
摂り方
食事では肉や魚に多いヘム鉄と、野菜などに多い非ヘム鉄から摂り、動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。非ヘム鉄は体の鉄が少ないと吸収率が上がり、ヘム鉄を上回るとされるため、植物性食品も使えます。ベジタリアンの運動選手の鉄欠乏が肉食の選手より多いとは、一貫して示されていません(2026年のレビュー)。推奨量は年齢で異なり、成人男性6.5〜7.5mg、月経のある女性10.0〜10.5mgです。
注意点
鉄欠乏でない人が摂取量を増やしても貧血の予防にはならず、推奨量を大きく超える補給は貧血の治療などを除いて控えるべきだと食事摂取基準は書きます。過多月経(1回140g以上)の人は、食事で賄うのが難しいため、受診して基礎疾患の有無を確かめてから補給を受けます。立ちくらみや強い疲労感があるときは、まず血液検査で原因を確かめてください。鉄がたまりやすい遺伝的な体質の方は、特に医療者の指示が要ります。
出典
- 公的機関 厚生労働省(2025) 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書「1-7 ミネラル」(微量ミネラル・鉄)
- 公的機関 厚生労働省 e-ヘルスネット 鉄(生活習慣病などの情報 e-ヘルスネット)
- 論文・英語 McCarthy E ほか(2026) The Effect of Diet and Dietary Supplements on Iron Status of Active Females: A Systematic Review and Meta-analysis of Interventional Trials
- 論文・英語 Luna F ほか(2026) Iron Deficiency in Vegetarian Athletes: A Narrative Review
解説動画: 鉄は不足しやすく、同時に過剰にもなりやすい/高須幹弥(高須クリニック)
概要: マルチビタミンミネラルのサプリを飲む意味があるかを医師が論じる回で、鉄は不足しやすい一方で過剰にもなりやすいミネラルとして両面から取り上げられる。食事で足りているなら無理に足す必要はなく、足りない人が足りない分だけ補うのが本筋だという立場である。
女性は鉄が不足しやすい: 日本人には特定の栄養素が足りていない人が多く、なかでも女性の鉄不足は目立つと指摘する。月経に加えて妊娠・出産・授乳でも鉄を失うため男性より貧血になりやすく、ふらついて倒れるような不調につながる。だから女性は意識して鉄を補う必要があるとしている。
摂りすぎは臓器に溜まる: 一方で鉄は摂りすぎると肝臓や心臓に蓄積して臓器の障害を起こすことがあるとも述べる。食事で十分に摂ったうえでマルチビタミンミネラルを毎日大量に飲み、さらに別のサプリを重ねると、想定外の過剰摂取になりやすい。サプリごとに何がどれだけ入っているかを一つずつ確認することが大事だとしている。