前脛骨筋
下半身
前脛骨筋は、つま先を引き上げるすねの筋
位置
すねの骨(脛骨)の外側面の上のほうと外側顆(上端の外側の膨らみ)から起こり、足首の前では、ほかの伸筋の腱とともに伸筋支帯というバンドの下をくぐって、足の甲の内側にある内側楔状骨と第1中足骨の付け根に付きます。すねの骨のきわを指でなぞったすぐ外側にあり、つま先を持ち上げると、すねの外側に細長い盛り上がりとして浮き出ます。
はたらき
足首を反らしてつま先を持ち上げるのが主役で、歩くときにつま先が地面に引っかからないよう振り出しを支えます。Dr. Nabil Ebraheimの解説動画は、かかとの着地前に足首を反らして備え、着いたあとは伸ばされながら力を出して足裏をゆっくり下ろす、と説明しています。支配神経は深腓骨神経で、神経や腱の損傷で働きが失われると、つま先が垂れる下垂足が起こります。拮抗するのはふくらはぎの下腿三頭筋です。
鍛え方
カーフレイズと対で、座ってつま先を上げ下げするトウレイズを行います。20回を3セット。チューブを足の甲にかけて手前に引く負荷もあります。2025年の研究では、鍛えた経験のある若い男性12人が片脚は縮みながら、もう片脚は伸ばされながら力を出す形で、専用の機器で足首を反らす運動を6週間行い、前脛骨筋の厚みは両脚とも約8%増えました。動かして出す力の伸びは伸ばされながら鍛えた脚のほうが大きかったと報告されています。
ストレッチ
正座して足の甲を床につけ、すねの前側を伸ばします。20〜30秒を2回。走り込みのあとに張って痛むシンスプリントに関わりやすい部位で、痛みが長く続くときは医療者に相談してください。
出典
- 論文・英語 Nunes JP, Nosaka K, Blazevich AJ(2025) The Training Specificity Versus Structural Adaptation Paradox: Differential Effects of Isokinetic Concentric and Eccentric Resistance Training on Muscle Architecture and Function in Young Men
- 動画・英語 nabil ebraheim Anatomy Of The Tibialis Anterior Muscle - Everything You Need To Know - Dr. Nabil Ebraheim
解説動画: 前脛骨筋を鍛えるメリットとトレーニング方法/筋肉あるある
位置と働き: 前脛骨筋はふくらはぎの前側、いわゆるすねの部分にある筋肉で、膝下の脛骨から始まり、少し内側にカーブして足の親指側の中ほどに停止すると説明している。働きはつま先を上げる足関節の背屈と、足先を内側にひねる内反。膝の関節をまたいでいないため膝の動きには関与しない。歩くときは常につま先を持ち上げてつまずかないようにしており、長距離を歩いてここが疲れるのもそのため。
バランス能力への貢献: 重心位置を可視化する装置を使い、前脛骨筋を疲労させるとバランスがどう変わるかを調べた実験を紹介している。発揮筋力が四分の一になるまで疲労させると、前後左右どの方向でも倒れない限界範囲が有意に減少し、重心もやや後方寄りになった。ヒラメ筋と前脛骨筋が共に働いてバランスを取っており、前側が耐えられなくなるためと推測されている。鍛えることで、倒れない範囲に体を留めておく能力が向上する可能性がある
トウレイズ: 器具が一切いらず自宅でもできる基本種目。かかとを段差に乗せてつま先を上げる。手で何かにつかまって行い、つま先を持ち上げる際に上半身を前に倒して体をくの字にすると、より強い収縮が得られる。戻すときは体をまっすぐにし、上げるときにまたくの字にする。膝は多少曲がっても問題ない。遅筋が多い筋肉なので、30レップほどできる程度の負荷でも十分トレーニングになる
負荷を足すやり方: ジムでは穴の開いたプレートにつま先をはめ込むプレートトウレイズができる。投稿者が最も効かせられるとしているのは、腕立ての姿勢でトレッドミルを逆走するやり方。逆向きに足をつくとつま先が強制的に持ち上げられ、その瞬間に前脛骨筋が強く働く。時速1キロ程度の遅い速さが最も効かせやすかったという。ここでも膝は曲がってよく、とにかくつま先を持ち上げることを意識する。