大殿筋

下半身

大殿筋は、人体で最も大きく力強い筋肉

位置

お尻の表面をおおう、体積でいえば人体で最も大きい単一の筋肉です。骨盤の後ろ側(OpenStax の解剖学教科書では腸骨の背面・仙骨・尾骨)から、太ももの骨の外側と腸脛靭帯に付き、お尻の丸みそのものを作ります。上部と下部で走る向きが少し違い、E3 Rehab は、付き先が腸脛靭帯と大腿骨に分かれることから両者を分けて考えると説明します。

はたらき

股関節を伸ばす主役で、立ち上がる・階段を上る・走って加速する動作の原動力になります。脚を外にひねる外旋にも関わり、膝が内へ崩れるのを防ぎます。拮抗するのは股関節を曲げる腸腰筋です。座ると大殿筋が働かなくなるという説(gluteal amnesia)を、E3 Rehab は、座っていても止まらず、対策は座る時間を減らして動くことだと退けています。

鍛え方

ヒップスラストで伸ばし切る局面を、バーベルスクワットで深くしゃがむ局面を担当させます。8〜12回を3セットが目安で、上げ切った位置で1秒止めるとお尻の収縮を感じやすくなります。Plotkinら(筋トレ未経験の大学生年代34人、9週間、セット数をそろえた比較)では、お尻の筋肉の伸びは両種目で近く、筋電図はヒップスラストが大きくても伸びを一貫しては予測できませんでした。

ストレッチ

仰向けで片方の足首を反対の膝に乗せ、下の脚を胸へ引き寄せる数字の4を作る形で伸ばします。30秒を左右2回。硬いと骨盤が後ろに倒れて腰が丸まり、しゃがむ深さも出にくくなります。

出典

  1. 論文・英語 Plotkin DL, et al.(2023) Hip thrust and back squat training elicit similar gluteus muscle hypertrophy and transfer similarly to the deadlift
  2. 資料・英語 OpenStax 11.6 Appendicular Muscles of the Pelvic Girdle and Lower Limbs - Anatomy and Physiology 2e
  3. 動画・英語 E3 Rehab How To Grow Your Glutes (5 BEST Exercises + Gluteal Amnesia Myth Busting)

解説動画: 大殿筋の構造と効かせるための条件/筋肉あるある

構造と働き: 大殿筋は単体の筋肉としては人体で最大。骨盤の腸骨稜あたりから始まり、股関節をまたいで大腿骨側の殿筋粗面や腸脛靭帯に停止する。上部と下部に分かれており、横から見た丸いヒップラインを構成する。最大の働きは股関節の伸展で、外旋・外転・内転にも関わり、ジャンプやランニングでよく働く。

どの角度で強く働くか: 股関節の角度を変えて活動を調べた実験では、深く折りたたまれた角度では大殿筋の活動はあまり高くなく、60度、30度と伸びていくほど高まるという結果が出た。真っすぐに近い付近が最大と推測される。スクワットでは体が起き上がる局面ほどお尻に負荷がかかりにくいのに対し、ヒップスラストはその局面でも負荷が乗る。これが効くと言われる理由だとする。

足を30度開く: 股関節伸展の動作では足を30度開くと大殿筋の活動が最大になり、15度、0度と閉じるほど低下して代わりにハムストリングスが高まる。大殿筋の繊維が斜めに走るのに対しハムストリングスは真っすぐ付いているためで、ヒップスラストではお尻狙いなら開き、裏もも狙いなら閉じる。スクワットなど他の種目にも同じ理屈が当てはまるとしている。

上位は片足種目が占める: 複数の研究をまとめた解析では、大殿筋の活動が高い種目の上位をフォワードステップアップ、シングルレッグデッドリフト、シングルレッグスクワットと片足種目が占めた。ステップアップは膝くらいの高さの台に半歩離れて立ち、足を乗せたときスネがわずかに前傾する位置を取る。シングルレッグデッドリフトでは下ろす途中で骨盤が開かないよう向きを保つ。

そのほかに使える種目: 股関節が真っすぐになる局面で負荷が乗る貴重な種目としてバックエクステンションも挙げ、ここでも足を30度ほど開いてプレートなどで負荷を足すとよいとする。片足で行うヒップスラストは、両足のときより明らかにお尻に効くのが体感できる種目で、お腹にプレートを乗せれば負荷も調整できる。