ハムストリングス

下半身

ハムストリングスは、太ももの裏を走る三本の筋肉

位置

太ももの裏側にある大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の総称で、大腿二頭筋は長頭と短頭に分かれます。坐骨から膝の裏まで伸び、股関節と膝の二つの関節をまたぎます。ただし短頭だけは膝しかまたがず、股関節には働かない、とJeff Nippardは解説します。膝を曲げると、膝裏の内側と外側に太い腱が浮き上がるのが触れます。

はたらき

股関節を伸ばす動きと膝を曲げる動きの両方を担います。7人の全力疾走のモデル解析は、脚を振り出して着地する直前に力と伸びがピークになり、肉離れの危険が最も高い時期かもしれないとしています。膝立ちで前へ倒れるのに耐えるノルディックハムストリングを含む予防プログラムは、アスリート対象15件の統合で、含まない場合よりこの筋の傷害が約半分でした。拮抗するのは前側の大腿四頭筋です。

鍛え方

ルーマニアンデッドリフトで股関節から折って伸ばす動きを、レッグカールで膝を曲げる動きを鍛えます。8〜12回を3セット。背中を丸めず、裏ももが突っ張る手前で切り返します。筋トレ経験のある若い男性10人の筋電図では、寝て行うレッグカールのほうがスティフレッグドデッドリフトより裏ももの下側の活動が高かったと報告されています。デッドリフト系だけで終わらせず、膝を曲げる種目も入れるのがコツです。

ストレッチ

床に座って片脚を伸ばし、背中を丸めずに骨盤ごと前へ倒します。30秒を左右2回。硬いと骨盤が後ろに倒れて腰が丸まり、前屈やしゃがみ込みの深さが出にくくなります。

出典

  1. 論文・英語 Schoenfeld BJ, et al.(2015) Regional differences in muscle activation during hamstrings exercise
  2. 論文・英語 Schache AG, et al.(2012) Mechanics of the human hamstring muscles during sprinting
  3. 論文・英語 van Dyk N, Behan FP, Whiteley R(2019) Including the Nordic hamstring exercise in injury prevention programmes halves the rate of hamstring injuries: a systematic review and meta-analysis of 8459 athletes
  4. 動画・英語 Jeff Nippard The Most Effective Way to Train HAMSTRINGS | Training Science Explained
  5. 動画・英語 Physiotutors The 4 Best Hamstring Exercises | Hamstring Training

解説動画: ルーマニアンデッドリフトで裏ももに効かせる脛の角度と可動域/今古賀翔【トレーニング科学】

概要: ハムストリングスを強く太くするための種目としてルーマニアンデッドリフトを解説している。狙いの一番はハムストリングスと大殿筋で、二番目が脊柱起立筋群、三番目が広背筋と続く。動きは股関節の伸展が主役で、腰椎と胸椎の伸展は姿勢を崩さないためのアイソメトリック、そこに肩の伸展が加わる三つで成り立つ。

脛の角度で担当する筋肉が変わる: デッドリフトとの線引きは脛の角度に置いている。ルーマニアンは膝を少しだけ曲げ、脛を地面と垂直に保ったまま上半身を倒す形で、ハムストリングスと大殿筋が主役になる。通常のデッドリフトは膝が前に出て脛が傾き、脊柱起立筋群や外側広筋の関与が増える。スティフレッグは膝を曲げずに行い、股関節の伸展の役割がさらに大きくなる。

バーの握り方と足の向き: バーは左右とも順手のダブルオーバーハンドで、腰幅より少し広く握る。狭すぎると手が膝に当たり、片手を逆手にするオルタネイトグリップは背中に左右差が生まれるので使わず、握力はストラップやパワーグリップで補う。足幅は腰幅、つま先は10〜20度ほど外向きにして、膝とつま先の向きをそろえ、膝が内へ入らないようにする。

切り返しは床ではなく背中で決める: お尻を後ろへ突き出しながら上半身を倒し、バーは体に軽く引きつけて足の中心の真上を垂直に上下させる。重心はかかと寄り。床まで下ろすのではなく、裏ももが伸びた感覚が出て腰が丸まる手前が切り返しになる。戻すときはお尻を締めて前へ突き出すと上半身が起きる。ストレッチ感がつかめない人は、つま先の下に薄いプレートを挟んでつま先を上げると分かりやすい。

効かなくなる三つのフォーム: 崩れ方は三つ挙げている。膝が前に出て脛が傾くと股関節の関与が減り、狙った負荷が抜ける。上半身が起きすぎても股関節への負荷が減るので、胸を張って反るのではなく上体を前へ倒していく。三つ目は可動域を欲張って自分の柔軟性を超え、腰が丸まってしまう形で、これは腰のケガの原因になる。