BGMで集中力が上がる

学習の思い込み

音楽を流せばどんな作業でも集中できるという説

よく言われること

「音楽を流すと集中できる」という言い方は、勉強でも仕事でもほぼ無条件に勧められます。無音だと落ち着かないので何かかけたほうがよい、作業用の音源を流せばはかどる、という形です。曲の種類を選べばどんな作業でも上がるという助言もよく見かけます。作業の中身で分けるという条件は、たいてい付いていません。静かな場所がないときの解決策としても語られます。

実際はどうか

作業の種類によって向きが分かれます。メタ分析では全体の効果はゼロでしたが、内訳を見ると読む作業は妨げられ、記憶にも小さな害が出ていました。いっぽう気分と運動には利益で、新しいメタ分析では学習場面の小さな正の効果も報告されています。つまり結果は割れていて、一律に上がるとも下がるとも言えず、作業ごとに見るほかありません。

なぜ広まったか

音楽は気分を上げるので、はかどっている感じが実際に強くなります。全体の効果がゼロなのはプラスとマイナスが打ち消し合った結果で、平均だけを見ると差がないように映ります。自分の作業で成績が下がっていても、気分の側が良ければ気づきにくい形です。無音と比べて試した人が少ないことも、この説を残しています。読む作業だけ止めてみると、差は自分でも見えてきます。

どう言えば正しいか

「読む・書くときは止める。単調な作業や運動のときは気分の面で助けになる」と作業で分けて言えば報告に合います。歌詞のある曲が言語の作業を妨げるという報告は複数あるので、歌詞つき音楽を切るが先に来ます。人の話し声を覆う目的ならホワイトノイズが別の技として置かれています。おすすめの曲を探す前に、作業の側を見分ける順番です。

確かめられ方

Kämpfe ら 2011 のメタ分析は、全体としては効果がゼロでした。内訳では読む作業に妨害、記憶に小さな害があり、気分と運動には利益という形です。扱われたのは場面ごとにばらばらの課題で、期間はどれも作業中の短い範囲です。de la Mora Velasco ら 2023 は47研究をまとめて学習場面で小さな正の効果を報告していて、向きが揃っていません。

解説動画(海外・英語): Is It a Good Idea to Listen to Music While Studying/David S. Murphy, Ph.D.

意見は割れている: 大学の教員が、学術書を読む・論文を書くといった頭を使う作業の最中に音楽を流すのはどうかを、自分が読んだ論文を画面に並べながら確かめていきます。まとめると、研究者のあいだで一致した見解はありません。悪い方向へ寄った議論はあるものの、はっきり悪影響があると言い切る書き方はされていないと整理されます。

読む作業は妨げる: ある報告では、背景に流れる音楽は読む過程を邪魔し、読んだ内容の思い出しにも害が出る可能性があるとされます。別の報告では、文字の色と書かれた色名が食い違う課題でロック音楽が正しい答えを妨げました。同じ音楽でもクラシックでは逆に少し良くなり、音楽の種類と作業の種類で結果が入れ替わります。

効くのは気分の側: クラシックで作業記憶の課題が上がった報告もありますが、発表者は効き目が聴いている最中ではなく、聴いたあとに残る気分や高まりに結びついているらしいと述べます。モーツァルト効果と呼ばれてきたものもこの読み方で、課題の前に聴いたり歌ったりした場合に成績が上がったとされます。

歌詞は言葉と競合: 最後に、歌詞のある音楽と、言葉を処理して覚える力のあいだに負の関係を示すデータが見つかったと付け加えられます。自分の見てきた学生では音楽を聴きながら勉強する人が上位に入っていないとも言いますが、それは個人の観察にすぎず音楽が必ず害になるとは言えないと保留して締めます。