覚え直しを重ねる
くり返し方
一度言えたら終わりにせず、別の日にまた言えるまでやる
どんな技?
1回言えたところで札を抜かず、別の日にもう一度言えるまで戻します。今日は範囲を全部言えるところまでやり、数日後に同じ範囲へ戻って、そこでも言えるまでやります。1日で何周も回すのとは違い、1つの範囲に何日かかける形です。道具は紙のカードでも、範囲を区切ったノートでもかまいません。言えたという線を、日を変えて二度またぐところが違いです。
なぜ効くのか
1回言えた直後はまだ思い出しやすい状態が続くので、そこで切り上げるとわかった気だけが手元に残ります。日をまたいで同じことを言えるところまで通すと、思い出す練習と間をあける練習の効きが一つの手順で重なります。覚え直す作業そのものが手がかりを付け替えるので、あとで出てくる場面が広がるとされています。終わりの線は、日をまたいだ2回目に置きます。
やり方
範囲を決め、全部言えるまで1回目を回します。次に2、3日後に同じ範囲へ戻り、そこでも言えるまで回します。これを本番まで3回から4回重ね、回ごとに詰まった項目へ印を残します。1日のうちに回数を積むのはできた後もやり込むの側で、こちらは日を分けるほうへ時間を使います。範囲は1回で終わる大きさに切ります。
はまりどころ
1回にかかる時間が長いので、範囲を広く取ると最後まで回りません。言えたの線を甘くすると、ただの読み返しに近づきます。言えた札を早々に抜くと間をあける効きまで落ちるので、言えた札も残すと続きます。本番までの回数が足りないときは、範囲を狭めるほうを先に選びます。確かめられているのは講義科目の暗記の場面までで、実技の上達には広げられません。
確かめられ方
Rawson と Dunlosky が2022年にまとめた総説が、思い出す練習と間あけを重ねたこの形を扱っています。Rawson らの2013年と Janes らの2020年の検証では、大学の講義で本試験の成績が通常の自習より10%以上高く、d は0.54〜1.10でした。対象は大学の受講生で、報告が同じ研究室の系列に寄っているため、独立に何度も再現されたとまでは言えません。
解説動画(海外・英語): Katherine Rawson -- HILT 2013 Conference/Harvard University
授業の外で学ぶ: 話し手は、学年が上がるほど覚える量は増えるのに、授業に座っている時間は同じか減っていくと切り出します。そのぶん学びは授業の外へ移るのに、進むほど手引きは減り、大学に入るころにはやり方はもう分かっているはずと見なされる。だから自分で勉強を回すための道具箱が要る、という導入です。
十のうち二つ: 研究をまとめた総説では、学生が自分で使える10の勉強法を効果の大きさや通用する場面の広さで高・中・低に格付けしています。半分の五つは低い側で、しかも学生がいちばんよく使うと答えた二つがそこに入っていました。高い評価が付いたのは間をあける練習と自己テストだけでした。
日をまたいで戻す: この二つを重ねた形が講演の本題です。まず思い出す練習で、札の表を見て中身を言い、外したら見直して束の後ろへ戻し、全部言えるまで通します。話し手はここで止めないことが要点だと言います。同じ束を別の日にもう一度言えるまで回し、できればもう一日足す。それだけの、地味な手順だと述べます。
一週間後に残る量: スワヒリ語と英語の対を70組言えるまで通した人は、それだけで終えると1週間後に答えられたのが28%でした。数分で終わる回を別の日に一度足すとその値を大きく上回り、二度足すとさらに伸びます。概念の定義を覚える実験でも、回を増やすと1か月後と4か月後の成績が上がったと示しました。
試験のあとに残る: 授業でも試しています。教員が挙げた重要概念の半分だけをこの形で回すと、理解や応用を問う本試験の点が上がりました。多くの学生がやる一夜漬けは試験こそしのげても後には残らないと対比し、試験の3日後でも差が出たと述べます。終盤では、見覚えで済ませず答えを出して確かめるよう念を押します。