チャンク

記憶のしくみ

ばらばらの情報を意味のある塊にまとめて数を減らす

どういう意味?

1・9・4・5を一つずつ抱えると四つ分ですが、「1945年」とまとめれば一つで足ります。ばらばらの情報を意味のあるひと塊にして、数える単位の数を減らすやり方です。電話番号を三つに区切るのも同じで、中身は変わらないのに一度に載る量が増えて見えます。分かれ目は意味の通る区切りを見つけられるかどうかで、知らない分野では塊が作れません。

どこで出てくるか

一度に置ける数が少ない作業記憶の狭さをかわす主な手で、区切って覚える技や語彙と背景知識の説明に出てきます。熟練者が盤面を一目で覚えられるのは塊が大きいからで、チェスの研究がその例です。ただし意味のある並びのときの話で、でたらめな配置では差が縮みます。知らない語ばかりの文章が重いのも、塊にできず一語ずつ抱えるからです。塊の大きさは知識が決めるので、先に語を増やすほうが塊は育ちます。

取り違えやすいところ

塊が大きくなることと、容量そのものが広がることは別です。前者は知識が増えた結果で、これを裏返して「訓練で頭の置き場が広がる」と読むと話が逆になります(デュアルn-back訓練)。手が勝手に動く自動化とは向きが違い、こちらは数え方の話です。覚える中身が減るわけではなく、数を減らす工夫であって理解の代わりにはなりません。

解説動画(海外・英語): Chunking: Learning Technique for Better Memory/Sprouts

数を減らす: 九桁の数字はそのままでは覚えにくいけれど、三桁ずつに切ると覚えやすくなる、という例から始まる解説です。大きな情報を小さく切ると分かりやすくなり、小さくしたものを組み直すと全体が見えて思い出しやすくなる。この切って束ねる作りかたをチャンクと呼ぶと説明します。

手元は四つほど: 短期記憶は速いけれど小さく、一度に置ける塊は四つほどだと学習の専門家の説として置きます。新しい情報が来たときの行き先は二つで、置いてあるものを上書きして忘れるか、手間をかけて長期記憶へ移すかです。九桁がそのままでは入らず、束ねると入るのはこのためだと言います。

束ね方と移し方: 束ね方は、大きいものを小さく割る・規則を見つける・まとめて大きな絵として見る、の三つが挙がります。作った塊は練習によって長期記憶へ移り、そこで経験と結びついて、よく使っていれば力を入れずに取り出せるようになります。移りやすくする糊になるのが文脈だと述べます。

全体を先に見る: 良い教え手は細かい話に入る前に全体像を見せる、という言い方で順序の大切さを説きます。独学なら、まず章の見出しを拾って通し読みするのがそれに当たり、これは下読みそのものです。全体が見えていないまま事実だけ覚えてもすぐ忘れてしまうという立場を取ります。

曲と国の例: ピアノの指導では、まず曲全体を聴かせて雰囲気をつかませ、それから一小節ずつ練習し、別々に弾けるようになってから繋いでいきます。国と国の貿易のような話も、片方の国、もう片方の国、貿易のしくみと分けて学び、それぞれを自分の言葉で短くまとめて最後に繋ぐ形で示されます。