ぬれと接触角
界面と表面
液が広がるかはじくかを表す角度
どんな現象?
同じ一滴でも、きれいなガラスの上ではぺたりと広がり、磨いた車の屋根では玉のまま転がります。液滴のふちで液面と固体の面がつくる角度を接触角と呼び、小さいほどよく広がり、大きいほど丸く残ります。ぬれるかはじくかは液だけの性質ではなく、液と固体の組み合わせで決まります。
なぜ起きるか
液滴のふちでは三つの境目が出会います。固体と液、液と空気、固体と空気の三つです。固体が空気より液と接したほうが落ち着く材料では、ふちが外へ引かれて液滴は薄く広がります。逆に空気と接していたい材料では、ふちは内へ引き戻されて丸くまとまります。どちらへ動くかは三つの引き合いの差し引きで決まり、動きが止まった角度が接触角です。ただし実際の面はざらつきや汚れがあり、角度が一つに決まらないことがふつうで、進むときと退くときで値が変わります。
どこで見られるか
はっ水加工の雨具、樹脂で覆ったフライパン、雨の日の窓ガラス。雨粒が真珠のように転がる葉は、細かい凹凸のあいだに空気を抱き込んで150度を超える角度をつくります。油汚れが残った皿では水がまだらに切れ、洗えているかどうかの目安になります。よく洗えた皿なら、水は切れずに薄く均一に残ります。
勘違いしやすいところ
水をはじく面ほど汚れにくい、とは限りません。転がりやすさは角度そのものよりふちの動き出しにくさで決まり、傾けても粒が居座る面もあります。洗剤で広がりやすくなるのも水が強くなったのではなく、界面活性剤のはたらきで境目の条件が変わっただけです。傷や皮脂で値は簡単に変わります。
解説動画: 濡れ性とは/福山大学工学部機械システム工学科
水とアルコールを落とし比べる: ヨーグルトの蓋の話の続きとして、同じ面に液体を変えて落とします。水は水滴の形を保ったまま残り、アルコールは大きく広がります。この広がるほうを「ぬれ性が大きい」と言います。同じ固体でも液体が変われば結果が変わることを、まず見せてから説明に入る組み立てです。
接触角というものさし: 水滴が表面と接しているところの角度に注目し、これを接触角と呼びます。ぬれ性を評価する指標として使われ、角度が小さければぬれ性が良い、大きければ悪いと言います。広がった・広がらないという見た目の話を、角度という一つの数で言い表せるようにしたものです。
ヤングの式が結ぶ三つの張力: その角度が何を意味するかを表すのがヤングの式です。固体の表面張力、液体の表面張力、液体と固体の界面張力を青・赤・緑の矢印にすると、三つと接触角の間に成り立つ関係になります。力のつり合いのようで分かった気になるが、表面張力がなぜ矢印の向きの力で表せるのかは腑に落ちない人がいる——動画はそう認め、別動画に回します。
凹凸があると角度が変わる: 平らな面の次は凹凸のある面です。説明はいくつかあるとしたうえで、動画はキャシーとバクスターの理論を選び、水滴が凹みに入り込まないモデルとして示します。式には凹凸の情報が二つの量として入り、凹凸のある面の接触角が平らな場合と変わる理由をこれで説明できます。ヨーグルトの蓋にも、その凹凸があります。