界面活性剤のはたらき
界面と表面
水と油の境目に並んで性質を変える物質
どんな現象?
洗剤を一滴落とすと、水面に浮いていた粉がほんの一瞬で端へ逃げ、油の玉は細かく散ってにごります。同じ水なのに泡立つようになり、布や皿の隙間へしみ込みやすくなります。分子が水になじむ側と油になじむ側を一つずつ持っていることから起きる変化で、水そのものが別のものに変わったわけではありません。
なぜ起きるか
この分子は水の中では落ち着き場所がないので、境目へ水になじむ側を水へ、尾を油へ向けて並びます。並んだ分だけ境目の分子は相手が埋まり、内へ引き戻される差が小さくなるので表面張力が下がります。下がると水は固体の面へ広がりやすくなり、油の玉も小さくちぎれても損をしないので、かき混ぜるだけで散ります。散った油は分子に包まれて水に流せる形になり、すすぎで運び出されます。
どこで見られるか
食器用の洗剤、洗濯、化粧品の乳液、消火の泡、印刷のインク。胡椒を浮かべた水に洗剤のついた指を入れると、またたく間に粒が外へ走ります。人の肺の中にも似たはたらきの物質があり、息を吸うときに膜が縮もうとする力を和らげていて、足りないと呼吸が苦しくなることが知られています。
勘違いしやすいところ
汚れを溶かしていると思われがちですが、多くは境目の条件を変えているだけで、油そのものは変わりません。量を増やすほど効くわけでもなく、ある濃さから先は表面張力が下がりません。余った分は水の中で粒に集まるほうへ回るので、洗浄力の伸びもそのあたりで鈍ります。使い方はぬれと接触角とあわせて考えます。
解説動画: 界面活性剤の働きを知ろう/川端研究室
水と油の両方に付く: 界面活性剤は、水に馴染みやすい親水の部分と、油に馴染みやすい親油の部分を1つに合わせ持つ物質。だから本来は混じり合わない水と油を混ぜ合わせられる。この性質を生かして、洗剤のほか化粧品・医薬品・食品にも使われている。
汚れを落とす4つの作用: 動画は洗剤の働きに4つの名前を付ける。繊維に水を染み込みやすくする浸透作用、水と油を混じり合わせる乳化作用、固形の汚れを水中に散らす分散作用、落ちた汚れが戻らないようにする再付着防止作用。出発点は、分子が汚れの表面に集まって取り囲み、繊維から離れやすくすること。
布に落とした水滴の差: 浸透作用の実験は、スポイトで洗剤液とただの水を布に落とすところから。洗剤液はさっと染み込むのに、水は玉になって残り、染み込まない。別のやり方でも、洗剤液では水が染み込んで布が沈み、水では浮いたままだった。
ごま油とすすで見る: 乳化作用の実験は、洗剤液と水それぞれのビーカーにごま油を垂らして混ぜる。洗剤側は水と油が混ざり合い、水側は分離する。分散作用は固形の汚れとしてすすを入れて見て、洗剤側では液全体に散らばり、水側では表面に浮いたままになる。
白い布は汚れなかった: 再付着防止の実験は、ごま油を混ぜたそれぞれの液に白い布を入れて取り出す。洗剤液の布は色がつかず、水に入れた布には油汚れが付く。すすでも同じで、洗剤液ではわずかな付着にとどまり、水では布にしっかり付いていた。