表面張力

界面と表面

液体が表面の面積を減らそうとする性質

どんな現象?

コップに水を静かに注ぐと、縁より少し上まで盛り上がってもこぼれません。小さな水滴は角ばらずに丸くなり、細い針や軽い虫が沈まずに水面へ乗ります。液体の表面が面積を小さくしたがるように振る舞い、その結果として表面が縮む向きの力が出ているように見える、というのがこの現象です。

なぜ起きるか

液体の内側にいる分子は、まわりから四方八方に引かれて釣り合っています。ところが表面の分子は空気側に相手がほとんどなく、内側と横からだけ引かれます。差し引きで内側へ引き戻されるので、分子は表面に居たがらず、表面積の小さい形へ寄っていきます。丸くなるのは同じ体積なら球が最小だから。水の上に薄い皮が張っているわけではなく、表面張力は膜が張っているという説明は正しくありません。

どこで見られるか

朝の草に乗る露、蛇口から落ちる直前にふくらんでちぎれる水玉、水面をすべるアメンボの足がつくる浅いくぼみ。硬貨の上へ水を一滴ずつ足すと、十数滴から数十滴までドーム状に盛り上がり、そこから一気に崩れます。台所で油の玉が水面へ丸くまとまるのも同じ仲間で、数秒ほど眺めれば形の落ち着く過程が見えます。

勘違いしやすいところ

水面に透明な膜が張って物を支えている、という絵で覚えると先で行き詰まります。支えているのはへこんだ表面が元へ戻ろうとする力で、膜という材料はありません。もうひとつ、小さいものほど強く効く点も落としがちで、数ミリを超える水たまりでは重さのほうが勝ってしまいます。勢いとの釣り合いの目安はウェーバー数です。

解説動画: なぜ水がコロコロと弾かれるのか? 〜撥水の原理〜【ゆっくり科学】/デルタのゆっくり科学

撥水と防水は別もの: 傘の雨粒が丸いまま転がり落ちるのはなぜか、から始まる。動画がまず押さえるのは撥水と防水は別の機能だということ。撥水は表面で水をはじいて濡らさない機能、防水は表面は濡れるが裏まで通さない機能で、耐水は防水と同じ意味。ガラスは表面が濡れやすいので撥水性は弱いが、水を通さないから防水性は高い、という具合に分かれる。

撥水は上位互換ではない: 撥水には弱点がある。水からの圧力が一定以上になると弾けなくなる。水の量が多いとき、勢いよく飛んでくるとき、水中に沈めたときや滝のように打ちつけるときは、撥水加工があっても簡単に内側まで染みる。だから水中で使うカメラには防水、濡れて重くなるのを防ぎたい傘には撥水、と使い分けることになる。

濡れにくさは角度で表す: 濡れやすさは感覚ではなく、落とした液滴と固体表面がつくる角度で表す。この角度が大きいほど濡れにくい。角度が大きいと水滴が表面に接する面積が小さくなり、弾いている状態になるからだ。感覚のままでは2つの素材のどちらが優れているか比べられない、比較できる形に言語化するために角度を使う、と動画は言い添える(ぬれと接触角)。

ふちに働く三つの表面張力: 物体ごとに角度が違うのは表面張力の値が物質ごとに違うから。表面張力は表面をできるだけ小さくしようとする力で、液滴のふちの一点には三つが働く。固体と空気の間の張力は空気に触れる固体面を減らそうとして液体を広げる向き、液体と固体の間の張力は液滴の中心へ引く向き、空気と液体の間の張力は球のとき表面積が最小になるので輪郭の接線方向へ。

角度は勝手に釣り合う: この三つの水平方向の合計がゼロになる角度に落ち着く、という関係がヤングの式。釣り合いより角度が小さいと力が中心向きに残り、ふちが内側へ動いた分だけ液面が盛り上がって角度が大きくなる。大きすぎれば逆へ動く。撥水性の高い固体では、三つの張力が角度が大きくなるような値をとっている。