シャボン膜
界面と表面
二つの表面に挟まれた薄い液の膜
どんな現象?
輪を石けん水にひたして引き上げると、向こう側が透けて見える膜が張ります。虹色の縞がゆっくり流れ、数十秒ほどで上のほうから色が抜け、やがて破れます。液が二枚の表面に挟まれた構造で、枠の形しだいで平らにも曲面にもなります。色が見えるころの厚みは、光の波長ほどしかありません。
なぜ起きるか
石けん水の表面は、引き伸ばされると表面張力が上がり、たるむと下がる性質を持ちます。だから薄くなった場所は自分を強く引き締め、周りから液を引き寄せて穴が開く前に厚みを直します。この直す働きがあるおかげで膜は保ちます。それでも液は重さで下へ落ちるので上ほど薄くなり、虹色の縞は上から色を失います。光の波長より薄いところは黒く見え、そこから破れます。水だけで膜にならないのは界面活性剤のはたらきが無いためです。
どこで見られるか
子どものシャボン玉、食器を洗ったあとの泡、ビールの泡どうしの壁。針金の枠を石けん水に浸すと面積が最小になる形が現れ、輪を二つ向かい合わせると鼓のようにくびれた曲面ができます。泡が集まったところでは、膜は三枚ずつ、120度に近い角度で出会い、どこでも同じ決まりの形に落ち着きます。
勘違いしやすいところ
厚い膜ほど丈夫だと思いがちですが、破れにくさは厚みより自分で直せるかどうかで決まります。虹色は色つきの液ではなく、表と裏で反射した光の重なりです。乾いた指で触れると割れるのは、指が触れた場所の水を奪うからで、直す間もなく穴が広がります。石けん水で濡らした指なら、そっと通せることもあります。
解説動画: 波動 波の干渉08 薄膜の干渉その3~斜め薄膜の干渉完全攻略編~シャボン玉がなぜ虹色か?~/独学物理
膜で分かれる二つの光: シャボン玉に届いた光は、表の面で跳ね返って目に入るものだけではない。膜の中へ入り、向こう側の面で跳ね返ってから出てくるものもある。空気の屈折率は1、膜の屈折率はそれより大きい。二本の道は走った距離が違うので、重なったときに強め合ったり弱め合ったりする。
余分に走った分の出し方: 距離の差を出すコツは、境界に対して線対称な点を取ること。折り返して置くと二本ぶんの長さが一本の線分に置き換わり、できる三角形が二等辺三角形だと分かる。あとは直角三角形に注目して、膜の厚さの2倍に屈折角の余弦をかけた形になる。ここが最大の難所だと言う。
波の数で数え直す: 出した距離の差には、さらに屈折率をかけて光路差に直す。膜の中では波長が縮んでいるので、そのままでは波が何個入るかを数えられない。かけておけば真空中の波長のものさしで数えられる、という筋道になっている。
跳ね返りで裏返る回数: 跳ね返るとき、屈折率の小さい側から大きい側へ向かう反射は固定端反射で波が裏返る。逆向きは自由端反射で裏返らない。この配置では裏返るのが全体で1回だけなので、強め合う条件と弱め合う条件がそっくり入れ替わる。
上が薄いから虹色になる: シャボン玉は重力で下ほど厚く、上ほど薄い。色は波長で決まり、長いほうの赤がおよそ800ナノメートル、短いほうの紫がおよそ400ナノメートル(ざっくりの値だと断っている)。だから薄い場所は紫、厚くなるほど赤へ移り、さらに厚いと波が2つ入る。見る角度でも距離の差は変わるので、色は一言では言えなくなる。