水の落ちる音が変わる

台所と水まわり

確かめやすさ: すぐ試せる

水の落ちる音が変わるのは、注ぐほどコップの中の空気の柱が短くなって音が高くなる変化です。

何が起きている?

空のコップに水を注ぐと、はじめはこもった低い音がして、水位が上がるにつれて少しずつ高くなり、満ちる直前で詰まったような高さになります。注ぐ勢いを強めても音の高さはさほど動かず、残りの量につれて変わっていくので、目をつぶっていてもあとどれくらいかが分かります。Bagad らのチームは、音の高さだけから液面や注ぐ速さ、満ちるまでの時間を推定する方法を、50種の容器で撮った805本の注ぐ動画で試しています。

なぜそうなるか

鳴っているのは水ではなく、水面より上に残った空気です。落ちる水と巻き込まれた泡が空気を押すと、押された空気は縮んで押し返し、この縮んでは戻る往復が音として耳へ届きます。部屋が小さいほど往復は速く終わるので、音は高くなります。水位が上がるほど空気の部屋は狭まり、だから残りの量が音で読めます。泡そのものも小さいものほど高い音を出します。

確かめ方

同じコップを二つ並べ、片方は半分、片方は八分目まで水を入れて、目をつぶって注ぎ分けてもらってください。高さの違いはすぐ聞き分けられます。道具なしで確かめるなら、コップの口に下唇を当てて横へ息を吹く方法があり、水を足すほど音が高くなるのがその場で分かります。スマホで注ぐ様子を録音し波形か周波数の表示を見れば、Bagadらが805本の注ぐ動画で確かめたとおり、途切れず右肩上がりに音が高くなっていく線が自分の目でも追えます。

つながる現象

空気の部屋の広さが音を決める仕組みは、首のある瓶ならヘルムホルツ共鳴の仲間で、瓶の口に横から息を吹くときと同じ組み立てです。円筒のコップは片側が閉じた笛に近く、Bagad らは両者で音の高さの変わり方が違うと整理しました。半球のように広く開いた器では空気が逃げて「満ちていく」効果が出ないため、このモデルも苦手だと述べています。泡が縮んで戻る点は、やかんが沸く前の曇った音と同じ仲間です。

出典

  1. 論文・英語 Piyush Bagad, Makarand Tapaswi, Cees G. M. Snoek, Andrew Zisserman(2024) The Sound of Water: Inferring Physical Properties from Pouring Liquids

解説動画(海外・英語): The Science of Sound...Using Glasses & Soda Bottles!/Music with Ms. Watson

水の量を変えて並べる: グラスやソーダの空きびんに、量を変えて水を入れていく。水が見えるように食紅で色をつけるのがこの人のやり方。スプーンをマレット代わりにして側面を叩くと、水が少ないほど高い音、水が多いほど低い音が出る。器を替えなくても、水の量だけで音の高さが動く。

叩くと鳴るのはガラス: 音のもとは振動だ、というところから始める。スプーンで叩いて鳴っているのは器のガラスのほうで、水が少ないガラスほど速く振れる。振れが速ければ波は短くなり、高い音になる。水を足せば振動は遅くなり、波が長くなって低い音に下がる、という筋道で説明している。

吹くと鳴るのは空気: 同じ器はもう一通りの鳴らし方ができる。側面を叩くかわりに、フルートを吹くように口の上を横切らせて息を吹く。このとき鳴っているのはガラスではなく器の中の空気で、空洞の中で空気が共鳴して音になっている、と言い分けている。

吹き方だと高低が逆になる: 空気を鳴らす吹き方に変えると、結果がそっくり反対になる。水が少ないほうが低く、多いほうが高い。理由は、水が増えたぶん空気が振動できる余地が狭くなるから。同じ器・同じ水の量でも、鳴らし方しだいで高低が入れ替わる。

家で試すときの注意: びんが無ければ普段のコップでよい。ただし先に大人に断って、手伝ってもらうことと釘を刺している。曲も弾けて、動画ではきらきら星(Twinkle, Twinkle, Little Star)を演奏して曲名を当てさせている。