車の後ろに引き込まれる

外と乗り物

走り去る車の後ろへ物や体が寄っていく話

何が起きている?

走り去る車の後ろを、落ち葉やレジ袋がしばらく追いかけていくことがあります。歩道で待っているとき、通り過ぎた車のほうへ体が半歩持っていかれる感じも同じものです。自転車で車のすぐ後ろに入るとペダルは軽くなりますが、前がまるで見えず急な停止に間に合わないので、公道でやってよい話ではありません。

なぜそうなるか

車の後端で流れが剥がれ、後ろには渦の詰まった領域が残ります。そこは周りより圧力が低いので、周囲の空気が内側へ押し込まれ、結果として後ろの空気は車と同じ向きに動きます。そこにいる物や人は、動く空気に背中から押されるぶん向かい風が弱まり、車の方向へ押されます。「吸い込む力」という言い方では、押しているのが大気だという肝心な点が抜けます。

確かめ方

扇風機の弱い風の前に下敷きか厚紙を立て、その裏側にティッシュを一枚垂らします。風から隠れているはずのティッシュが厚紙の裏へ張り付き、ひらひらと揺れます。厚紙を少しずつ横へずらすと張り付きの消える位置が見つかり、風の当たらない裏側にこそ低い圧力ができていると分かります。

つながる現象

後ろに残る後流と、前後の圧力差が生む圧力抗力です。大型車の後ろに付ける板や、車体後端をすぼめた形は、この渦の領域を小さくするための工夫です。同じ形でも速いほど差は大きくなり、歩行者のすぐ横を通る車では、巻き込む風もそれだけ強くなります。傘や帽子は、車が来る側へ少し傾けて構えておくと持っていかれません。

解説動画: ロータス・エスプリ vs テスラ モデルY 1970年代スポーツカーと最新SUVを風洞で比べたら衝撃だった/エアロイノベータ

50年差の2台に煙を当てる: 1970年代のくさび形スポーツカー、ロータス・エスプリと、現代の流線形SUV、テスラ モデルYを同じ風洞に並べて煙を流します。年代が違いすぎて比較にならないのではという問いに、案内役は違いすぎるからこそ空気の動きがくっきり見えると返し、これを時代をまたいだ風のタイムスリップと呼びます。

屋根の後ろで空気が離れる: いちばん大きな違いはルーフ後端での剥離でした。エスプリは角張った屋根の後ろで空気がぱっと離れ、リアガラスの上を素通りしていきます。モデルYは屋根からの傾きがなめらかで、空気が張り付いたまま後ろへ流れます。同じ煙でも、離れる場所が前寄りか後ろ寄りかで見え方が変わります。

背後に残る空洞と渦: エスプリの後ろでは煙がふわっと浮き上がります。動画は、そこにできる大きな空洞が乱れた流れを生んで抵抗が増えると述べています。モデルYは剥離の位置が後ろへずれるぶん、背後の渦が小さく抑えられます。背後に残る領域が大きいほど抵抗も大きい、という見方です。

前で切り裂くか受け流すか: 前まわりも対照的で、エスプリは切り裂く感じ、モデルYは受け流す感じだと表現します。ボンネットからフロントガラス、ルーフへのつながり方が、その車の空気の扱い方を決めているという整理で、デザインの違いがそのまま空力の違いになると締めています。

形が違っても規則は同じ: 共通点も挙がります。どちらもボンネットの上はきれいにそろった流れで、車体の最後端では必ず空気が剥がれること、そして空気は前から後ろへ流れるという基本の流れ方は変わりません。同じ規則の中で形が違うと、空気との付き合い方だけが変わる、というまとめ方です。