醤油
味噌・醤油
醤油は、醤油麹を塩水に仕込んでもろみにし、熟成させてから搾った液体調味料です。
どんな発酵?
大豆と小麦から作った「醤油麹」を塩水に仕込み、もろみとして熟成させて搾った液体です。味噌が固形のまま食べるのに対し、醤油は搾るのが決定的な違い。麹菌の酵素で分解が進んだあと、耐塩性の乳酸菌と酵母が香りを作ります。熟成とともに色が薄い茶色から赤茶色、さらに濃い茶色へと変わっていくのは、糖とアミノ酸が結びついてできるメラノイジンという色素が増えるためで、中国の研究チームが報告しています。
材料
醤油麹(大豆+小麦+麹菌)、塩、水。仕込み水の塩分は23%前後と高く、これが雑菌を抑えます。家庭では醤油麹(醤油こうじ)を購入して仕込むキットが現実的です。濃口醤油は塩分約16%で出荷量の8割以上を占め、淡口醤油は塩分を18%ほどに上げて発酵を遅らせ、色を薄く仕上げます。たまりはとろみと濃いうま味が特徴で、再仕込みは塩水の代わりに醤油で仕込み直す、としょうゆ情報センターは説明しています。
仕込み方
醤油麹と塩水を混ぜて「もろみ」にし、最初の1週間は毎日、その後は数日おきにかき混ぜて空気を入れます。常温で半年〜1年。仕上げに布で搾り、生の状態では日持ちしないので加熱(火入れ)してから瓶詰めします。中国の研究チームが高塩のもろみを230日間追った実験(Zhouら、2026)では、最初の30〜60日で原料が分解され、90〜150日で香り成分が増え、180〜230日で風味が整って色の深さも最も良くなったと報告されています。
見極めと失敗
塩分が非常に高いので腐敗はまれです。表面に産膜酵母が張るのは通常で、混ぜ込むか取り除きます。搾ったあとの生醤油は必ず加熱してください。もろみを密閉容器で放置するとガスで膨らみます—— ふたは緩めておきます。容器が膨らむのは密閉のしすぎだけでなく、ガスを出すバチルス属の細菌が原因のこともあります。傷んだ醤油から分離した菌を調べた実験では、早いものは混入から1日、多くは1〜3日でガスが出始めたと報告されています。
出典
- 論文・英語 Zhou Y, Xin R, Guan W, Guo P, Zhou S, Wu C, Liu Y(2026) Investigation on the dynamic change of key odor compounds, free amino acids and chroma during soy sauce fermentation
- 論文・英語 Huang H, Zhang J, Zhao H, Chen Z, Zou Q, Jin Y, Zeng X, Zhao L(2026) Establishment of a degenerate primer-based multiplex qPCR method for sensitive detection of Gas-Producing Bacillus spp. in soy sauce
- 資料 しょうゆ情報センター しょうゆの種類
解説動画: 昔ながらの醤油作り 〜 郷土の土から生まれる天然の健康食品(2006年撮影)/木の花ファミリー(konohana family)
昔ながらの本醸造: 醤油は味噌とともに日本独特の重要な調味料で、下地、紫とも呼ばれると動画は始めます。この農園は本醸造という昔ながらの製法を守っていて、仕込みから搾りまでを通して追った記録です。大豆は2倍以上の水に約20時間浸けて水を切り、大釜で蒸します。小麦は焙煎機で炒って砕き、麹菌の酵素の働きを受けやすい状態にしておきます(→麹菌(コウジカビ))。
麹室で二昼夜寝かせる: 炒った小麦と蒸した大豆を混ぜ合わせて盛り、この回はもろ箱66箱に分けました。結露を防ぐために寒冷紗を張り、麹室に積み重ねて25〜26℃で二昼夜寝かせます。この間に手で押す手入れを入れます。作り手は醤油でも味噌でも、麹をいかに上手に作るかがいちばん大切だと語ります(→味噌)。良い花が咲くといい醤油ができるそうです。
杉樽で毎日櫂入れ: 食塩30kgを入れた杉樽に麹を加え、よくかき混ぜて仕込みます。ここからが「もろみ」で、発酵を促すために毎日櫂入れをして中身を入れ替えると述べます。仕込みから1年〜1年半でもろみは熟成します。この回に絞ったのは4年もので、普通は二夏越したものを二年もろみと呼ぶそうです(→時間)。
搾って火入れをする: 搾り機の準備をするところから順に映していきます。もろみを大釜に移して少量の水を加え、底が焦げつかぬよう下から返すように混ぜ、沸騰はさせないまま2時間ほど火にかけます。それを布の袋に詰めて搾り機に重ね、流れ出る様子を見ながら圧をかけていきます。出てきたばかりのものを生醤油と呼び、67℃で2時間ほど加熱したものが一番搾りの濃口だと述べます。
二番搾りと、残す技術: 搾ったあとには生粕が残ります。適量の塩と水を加えてもう一度搾るのが二番搾りで、加熱したものをこの作り手は薄口と呼び、主に煮物に使うと言います。技術そのものは難しくないが、道具と、毎日の櫂入れと、絞る腕がいると言います。昔は年に何度か醤油絞りの職人が家々を回ったそうで、今は珍しくなったので次の人や子どもたちに伝えたいと結びます。