麦味噌
味噌・醤油
麦味噌は、大麦や裸麦の麦麹を使い、香ばしく甘口で熟成が早い味噌です。
どんな発酵?
米麹の代わりに大麦や裸麦で作った麦麹を使う味噌です。九州・四国・中国地方が主な産地で、麦のでんぷんが麹の酵素で糖になり、麹の割合が高いぶん甘口になります。愛媛では米の裏作の麦を味噌にし、農家で作られたものが多く、田舎味噌とも呼ばれました(農林水産省)。熟成の短い淡色タイプと、長く寝かせる塩分高めの赤系があるとKusumotoらの総説(2021)は整理しています。
材料
大豆・麦麹・塩で仕込みます。麦麹の割合を増やすと甘口になります。塩分は、総説で淡色タイプ9〜11%・赤系10〜12%、文部科学省の食品成分表の麦みそは食塩相当量10.7g/100gです。英語圏の Sandor Katz と Eddie Shepherd は、麹と豆を同量・塩4〜6%なら数週間〜3か月、豆を麹の2倍・塩12〜14%前後なら半年以上と話します。
仕込み方
麦麹は、裸麦を2時間ほど浸水して30分蒸し、人肌に冷まして種麹をまぶし、麹室で丸一昼夜置いて作ります(愛媛・宇和島の味噌蔵を訪ねた安岡蒲鉾の動画)。潰した大豆に麦麹と塩を混ぜ、握って固まり、絞っても汁が出ない固さに整えて詰めます。乾くときは大豆の茹で汁か4%の塩水で足します(Sandor Katz・Eddie Shepherd)。宇和島の味噌蔵は天然醸造で3〜6か月熟成させます。
見極めと失敗
空気を抜いて詰め、瓶は3分の2までにして、味噌と同じ重さほどの重石をのせます(Eddie Shepherd)。詰めすぎてふたをゆるく置いた瓶が吹き出した、と Sandor Katz は話します。白い粒や粉は麦味噌でもチロシンのことがあり(→白い粉・白い粒(チロシン))、包装味噌ではカビや異物と疑われると長崎県工業技術センターの報告(1991年)が書きます。カビとの違いは(→味噌の表面のカビ)。
出典
- 公的機関 農林水産省 味噌汁(麦味噌) 愛媛県|うちの郷土料理
- 公的機関 文部科学省(2023) 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 麦みそ
- 論文・英語 Kusumoto KI, Yamagata Y, Tazawa R, Kitagawa M, Kato T, Isobe K, Kashiwagi Y(2021) Japanese Traditional Miso and Koji Making
- 論文 前田正道(長崎県工業技術センター食品科)(1991) 麦味噌のチロシン析出とその防止法
- 動画・英語 Eddie Shepherd How to make your own miso paste
- 動画・英語 Better Done Yourself Sandor Katz Makes Miso ~ Fermentation Workshop Episode.03
- 動画 宇和島 安岡蒲鉾 【希少映像】日本一の麦味噌屋に密着!
解説動画: プロが教える麦みそを美味しく作るための3つのコツ/河崎紘一郎
前日に豆を洗って浸す: 動画は麦麹を使った麦味噌を二日に分けて仕込みます。前日の作業は三つで、よく洗うこと、三倍の水に浸けること、18時間以上置くこと。大豆は見た目以上に汚れていると言い、洗うときは水をひたひたにして豆どうしをこすり合わせるようにします。水より軽い皮は流して捨ててよいとも述べています。
吸水できたかの見分け: 水が入ったかどうかは豆を割って断面を見ると分かるとしています。中まで同じ色になっていれば吸えていて、中心の色が変わっていればまだ足りません。この見極めを飛ばすと、煮ている間に膨らんで中まで火が入らず、炊き上がりに斑が出るため、ここがひとつの要点だと言います。翌朝、鍋にかける前にここを確かめます。
煮上がりと塩切り麹: 豆は三時間ほど煮ます。その間に麦麹と塩を色が均一になるまで混ぜて塩切り麹を作っておきます。煮上がりの判断は親指と小指で、力を入れずに潰れる柔らかさ。潰した豆と麹を合わせたら、麹のばらつきと豆のねっとり感が均一になり、少ししっとりする程度に整えます。混ぜたときににちゃにちゃと音がするくらいがよいと言い、そこへ寄せていきます。
甕に詰めて重しを乗せる: 詰め方の要点は空気です。空気があるところにカビが出やすいので、団子にして押し込みながら容器へ移していきます。表面を平らにならしたら、落とし蓋や落とし布に当たるものとして、空気を抜きながらラップを密着させます。その上に塩を量って平らに詰めると中蓋と重しの役割になると紹介しています。
置く場所と十ヶ月: 蓋をしたらおよそ10ヶ月、直射日光を避けた常温で置きます。おまけとして前年の仕込みを開けて見せ、一年寝かせて暖かい部屋に置いたぶん色が濃くなったと話します(→味噌の色が濃くなった)。もう少し明るい色で仕上げても構わないとしたうえで、夏を越すと色は変わりやすいので見ておくとよいと言い添えます。