困ったとき図鑑 | オトモドリンク&イーツ

冷蔵庫のごはんが硬いのは、庫内が老化のいちばん速く進む温度帯だからです。

温度で、ごはんが硬くなるか、火が通るか

冷凍 −10〜−20℃硬くならない60℃以上硬くならない・火が通る−20℃0℃60℃100℃98℃で20分=芯まで火が通る冷蔵 0〜5℃いちばん硬くなる
老化(β化)=炊いたごはんが冷めて硬くなること、糊化(α化)=生の米に火が通ること。檜作進(1970)と農林水産省によると、老化は0℃付近で最も速く、−10〜−20℃と60℃以上ではほとんど起こらない。糊化は60℃付近から始まり、98℃以上で20〜30分あれば十分とされる。

状態

冷蔵庫に入れておいたごはんが硬くぼそぼそになった状態です。粒どうしが離れてぱらつき、口に入れても水分が戻りません。一晩置いただけで出ることもあります。温め直すと柔らかくなるのに、冷めるとまた硬くなるのが特徴で、温め直しても硬いのほうは加熱しても戻らない場合を指します。見る条件が別になります。

起きていそうなこと

老化(β化)は温度に依存します。檜作進 1970 は0℃に近づくほど速く、−10〜−20℃の凍結ではほとんど起こらないとしています。鈴木一成 1989 はコシヒカリで+5℃・0℃の保存は1〜2日で糊化率が急に下がり、0℃が最速だったとしています。小舘琢磨ら2023はひとめぼれで5℃なら24時間、10℃なら48時間で硬くなったとしています。冷蔵庫の庫内はこの最も速い帯にあたり、残ったご飯は冷蔵庫に入れるという作法は硬さの側では条件を悪くします。

対処

残ったご飯は熱いうちに冷凍するの側へ移します。鈴木一成 1989 は−20℃や凍結させた−5℃なら1〜3か月糊化率を保ったと報告しており、炊き上がりのうちに1食ずつ小分けにして冷凍すると、老化がほとんど進まない帯に入ります。冷蔵庫へ入れるのは、その日のうちに食べる分だけにします。レジスタントスターチが増えるという話は老化そのものの言い換えなので、食味の話とは分けて扱います。硬さの話と栄養の話は、同じ現象の別の面です。

本文に出てくる道具

解説動画

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食の雑学ラボ

の解説動画

コンビニおにぎりが「保存料ゼロ」でも腐らない理由

冷やさない棚

動画は、コンビニのおにぎりが飲み物と違って冷えた棚に置かれていない、という観察から入ります。ファミリーマートは公開資料で常温の商品を18〜22℃、冷蔵が必要な商品を3〜8℃で管理すると記し、セブンアイの広報は冷蔵庫に入れるとごはんのでんぷんが老化して硬くなると述べている、と紹介します。

糸が編み直される

生の米のでんぷんは細い糸がきつく束ねられたような並びで、そこへ水と熱が入ると束がほどけて水を抱き込む、というのが動画の説明です。ほどけた糸は放っておくと水を吐き出しながらもう一度硬く編み直される方向へ戻り、これが老化(β化)。時間の経ったごはんがぼそぼそになるのは傷んだからではない、と言い直します。

冷蔵庫がいちばん速い

動画が挙げるのは、岩手県工業技術センターの2020年の研究報告で、熱の測定から0℃で保存した米飯は5℃よりも老化が早いと示されているという点です。別の資料では0〜3℃が最も進みやすいとされ、大阪ガスKRIの2014年の資料には冷蔵は室温に比べて老化をおよそ2倍に早めるという数字もある、と並べます。

つまみは1つ

そのうえで、菌にとって都合の悪い温度は米にとっても都合が悪い、と2つの事情を1本の軸に載せます。日持ちを取りに行けば食感が落ち、食感を取りに行けば菌の増える傾きが立つ。工場は冷やさないほうを引き受け、その不利を最初の菌の数と水分・酸の設計で埋めているという読み方で、あの中途半端な温度帯の意味を通します。

台所での選び方

最後は、家庭には工場と同じ答えを取らない自由がある、と結びます。夏の昼をまたいで持ち歩くなら硬くなるのを承知で冷やし、保冷剤を添える=食味を差し出して時間を買う、という選び方です。冷蔵庫でごはんが硬くなること自体は傷みではなく編み直しが進んだ結果で、残ったご飯は冷蔵庫に入れるかどうかは自分で決める話になります。

出典: 食の雑学ラボ(YouTube)で動画を見る ▶

出典

  1. 論文 小舘琢磨ら(2023) 高タンパク低アミロース米「きらほ」米飯の冷蔵保存下における物性変化
  2. 論文 檜作進(調理科学)(1970) 炊飯とでんぷんの老化
  3. 論文 鈴木一成(日本家政学会誌)(1989) 米飯の老化に及ぼす保存温度の影響

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