味わい図鑑

明るい酸味(酸味)

「酸っぱい」と「酸味がある」は違う。レモンやオレンジ、りんごを思わせる、輪郭がはっきりして後に残らない酸です。古くなった豆の「酸っぱさ」とはまったく別のもので、こちらは劣化ではなく品質の証拠として扱われます。

コク(ボディ)(甘み・コク)

味の濃さではなく、口の中の重さ。口に含んだときの重量感、粘性、舌に残る厚みのことです。味が濃いこととは別の軸で、薄いのにボディがある、濃いのに軽い、ということが両方あり得ます。水とスキムミルクと牛乳を比べたときの違いに近い感覚です。

苦み(苦み・渋み)

焙煎から来る苦みと、抽出から来る苦みは別。焙煎由来の苦みは、香ばしさやチョコレートのような心地よさを伴います。対して抽出しすぎ(過抽出)から来る苦みは、焦げや灰のような不快さと、後に残るえぐみを伴います。同じ「苦い」でも原因が違います。

渋み(苦み・渋み)

味ではなく、口の中が乾く感覚。渋みは厳密には味覚ではなく、口の中の粘膜が収れんする触覚です。渋柿を食べたときの、舌がざらつく感じ。緑茶と紅茶では、この渋みが味の重要な一部でもあります。

花のような香り(フローラル)(香り)

ジャスミン、紅茶、ベルガモット。コーヒーや茶に感じる花や香水を思わせる、軽くて上に抜ける香りです。ゲイシャ種やエチオピアの浅煎り、ダージリンのファーストフラッシュ、鉄観音などに強く出ます。

チョコレート・ナッツの風味(甘み・コク)

「香ばしい」の中身を分解すると、これ。カカオ、アーモンド、キャラメル、焼いたパンを思わせる、重心の低い甘い香りです。ブラジルやグアテマラの中深煎り、深煎り全般に出ます。日本で「コーヒーらしい」と感じられてきたのは主にこの系統です。

過抽出と未抽出(欠点の味)

薄い/濃いではなく、出しすぎ/出し足りない。コーヒーの成分は、溶け出す順番が決まっています。酸味 → 甘み → 苦み・渋みの順で出てくるため、抽出が足りないと酸味だけが目立ち(未抽出)、行きすぎると苦みとえぐみが乗ります(過抽出)。

古い豆の味(劣化・酸敗)(欠点の味)

これだけは、淹れ方で直せない。段ボール、古い油、鉛筆の芯のような匂いがしたら、豆の劣化です。品質としての酸味が「明るい」のに対して、劣化の酸は「刺さる、平坦、後に残る」。膨らまない、香りが立たないのもサインです。