過抽出と未抽出
欠点の味
過抽出と未抽出は、薄い・濃いという濃さの話ではなく、成分を出しすぎたか出し足りないかという状態です。
どんな味?
コーヒーの成分は、酸味 → 甘み → 苦み・渋みという順番で溶け出します。抽出が足りないと酸味だけが目立ち(未抽出)、行きすぎると苦みとえぐみが乗ります(過抽出)。ミュンヘン工科大学の実験では、苦み成分の中でもクロロゲン酸やモノカフェオイルキニドは速く溶け出す一方、ジカフェオイルキニドはゆっくり溶け出し、抽出を延ばすほど質の違う苦みが増えていきます。
どこから来るか
湯温・挽き目・抽出時間・粉と湯の比率という4つの変数のずれです。カリフォルニア大学デイビス校の実験では、濃さ(TDS)と抽出率(PE)は別の軸として独立に変えられ、30の風味の評価項目のうち21が有意に変わりました。未抽出は「酸っぱくて薄く、水っぽい」、過抽出は「苦くて渋く、後味が残って口が乾く」という感じ方の違いで見分けられます。
調整の仕方
未抽出なら、細かく挽く・湯温を上げる・時間を延ばす。過抽出なら、その逆。粉の量を変えるのは濃度の調整であって、抽出の過不足とは別問題です。浸け込み式(フレンチプレスなど)の実験では、粉と湯の比率を変えても抽出率はほぼ21%のままで、変わったのは濃さだけでした。抽出の度合いを直すのは挽き目・湯温・時間の3つです。ここを混同すると直りません。まず一度に一つだけ変えてください。
出典
- 論文・英語 Blumberg S, Frank O, Hofmann T(ミュンヘン工科大学)(2010) Quantitative studies on the influence of the bean roasting parameters and hot water percolation on the concentrations of bitter compounds in coffee brew
- 論文・英語 Liang J, Chan KC, Ristenpart WD(カリフォルニア大学デイビス校)(2021) An equilibrium desorption model for the strength and extraction yield of full immersion brewed coffee
- 論文・英語 Frost SC, Ristenpart WD, Guinard JX(カリフォルニア大学デイビス校)(2020) Effects of brew strength, brew yield, and roast on the sensory quality of drip brewed coffee
解説動画: 【検証】抽出前半と後半でコーヒーの味わいの違いを徹底分析【ハンドドリップ】/UCCコーヒーアカデミー
前半と後半で味が違う: ハンドドリップで数回に分けて湯を注ぐとき、抽出の最初と後半では出てくる液体の味わいがまったく変わる。この違いを実際に分けて取り、比較して確認する検証。
やり方: いつも通り蒸らしをして、そのあと30秒ごとにドリッパーを別のグラスへ移動させながら抽出する。こうして時間帯ごとに分けた液体を、見た目・香り・味わいで比べていく。
結果の傾向: 後半になるほど香りが薄く、飲みやすくなる。逆に前半は目が覚めるような濃さで、しかも酸味が主体という、意外性のある結果が語られている。この違いを知っていると、狙った味に近づけるイメージが持てるようになるというのが検証の目的。